ひらめきブックレビュー

ビジネス脳を刺激する本、年越しに 選書のプロが推薦 2019年の良書を振り返る

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「頭の中をぐちゃぐちゃにされる体験も読書の楽しみ」と話す安藤奈々氏
「頭の中をぐちゃぐちゃにされる体験も読書の楽しみ」と話す安藤奈々氏

仕事に役立つ発想のヒントを与えてくれる良書を月に6冊ずつ紹介している「ひらめきブックレビュー」。2019年に取り上げた72冊の中から、年末年始にぜひとも読み返していただきたい本をピックアップしてお届けする。書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」を運営する情報工場のエディター、安藤奈々氏に「ビジネス」「トレンド」「教養」の3分野からそれぞれ3冊ずつを選んでもらった。

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■部下の心をつかむために有効なスキルとは

2019年に紹介した「ビジネス」分野の書評で、最も多くの読者に読まれたのがキム・スコット『GREAT BOSS(グレートボス)』(関美和訳、東洋経済新報社)です(参考記事 ズバリ言わぬは上司の罪 シリコンバレーの部下掌握術)。最近ではチームを引っ張っていく力のある「リーダーシップ型」上司は時代遅れと見なされ、代わって、チームのメンバーに奉仕してサポートする「サーバント型」が注目されるようになりました。しかし、いざ実践してみても難しさを感じる人が多いのではないでしょうか。本書は、前述の2タイプとは違う「第3の上司像」を見せてくれています。その点が悩める管理職の心に刺さったようです。

「シリコンバレー式ずけずけ言う力」と副題にあるように、著者はグーグルなど米国のIT企業で働いた経験が豊富です。部下との信頼関係は「徹底的なホンネを言う」ことから生まれるというのが著者のメッセージです。大切なのは「本音をはっきり言う」ことと同時に「相手を心から気にかけること」です。相手への思いやりがあってこそ、ズバリとした辛口が心に染みるのです。「ズボンのチャックが開いていたらどう伝えるか」など具体例が満載なので、部下への接し方を変えてみたい方には良い参考書になるでしょう。

次にお薦めする浅田すぐる『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』(SBクリエイティブ)は、本やセミナーで得た情報を自分の血肉とするためのハウツーを教えてくれます(参考記事 学んだことを仕事に生かせ 思考の整理は「20字」で)。基本は、本などから得た情報を自分の頭に定着させるメソッドで、紙1枚を使ってインプットとアウトプットを行うもの。本を読みながらキーワードを拾うインプット的作業と、そのキーワードを自分の言葉で20字にまとめるというアウトプット的作業を並行していきます。インとアウトを繰り返すので、知らず知らずテーマに対する考えが深まるんですね。私自身の仕事にもたいへん役に立ちました。著者はトヨタ自動車で働いていた経験を生かして本書を執筆しました。同社では何事も紙1枚で説明するというルールがあり、そこでの学びがキャリアに役に立ったそうです。

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