モデルケースの年代としても専業主婦家庭のほうが多かったと思われますが、今では共働き夫婦が増えていますし、状況が異なります。報道を真に受けるのではなく、自分の場合はいくら足りないのかを把握し、対策を練るほうが賢明です。報道では「2000万円不足」ですが、もしかすると1000万円も必要ない場合もあるでしょうし、3000万円、4000万円ないとどうにもならないというケースもあると思います。
まずは自分がいくら年金をもらえる見込みで、老後の支出はどの程度になるかを検討し、その差を埋めることを考えたほうがいいでしょう。そして、さらに介護・医療・リフォーム代などを含んだ予備費として1000万円上乗せして計算してください。
コツコツ投資で準備、時間を味方につける
数千万円単位の数字がでると驚いてしまいますが、それでも一旦落ち着いてください。あなたに退職金があるのであれば、それで随分と賄えるはずです。退職金がない場合も慌てずに。国が用意してくれている投資制度を利用して、将来に向けて資産をコツコツと積み上げて準備しましょう。
今は「人生100年時代」といわれますから、健康と長寿に自信があれば、始めるのはいつでもよいと思えます。ただ、一般的に見ると、70歳を超え、80歳、90歳になると先が短いことが分かりますから、その場合は投資はしない方が賢明ですね。運用の効果も表れにくいですから。
40代までの人なら、個人型確定拠出年金(イデコ)を利用すると、節税しながら老後資金を積み立てていけます。ただ、今のところは60歳になるまで積み立てたお金を使うことができないことに注意が必要です。
50歳を過ぎるとイデコの恩恵を受けやすい人が減りますから、つみたてNISAでコツコツ資産形成するといいと思います。自由に引き出すことができますし、リスクの少ない商品がそろっている点もお勧めです。
積み立て運用の期間は長ければ長いほどよいといえますから、10年以上、20年、30年と継続してほしいと思います。期間中、利回りは一定にはなりませんし、投資の仕方としては個別株などとは異なり、大きくもうけられるような面白いものではありませんが、時間を味方につけることで、複利の効果でお金を大きく育てていくことができます。
このように自分に必要な金額を考えながら、コツコツ運用することで自分に必要な老後資金を準備することが可能になります。もちろん、併せて生活の規模も小さくしていくという家計の見直しも行うと、より資金が長持ちし、安心できる老後を過ごすことができるでしょう。
こういうことに気が付けた人は、ぜひ、今年からコツコツ投資を始めてほしいなと思います。できれば手数料が安いネット証券などを利用するとよいでしょう。短期間で見るともうけは少ないですから、少しでも手数料で引かれる金額を少なくしたいという意味で、です。
以上が2020年の家計の心得となります。1つでもよいので、実行できそうなところから、ぜひ始めていただけますとうれしいです。
(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)
