2019/12/30

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例えば68歳時点で資金が必要になった場合、請求すれば年金は3年分、25.2%増額され、それ以降もらえる。あるいはその時点で3年分の年金を遡って受け取る方法もある。増額はされないが、一時的に多額の資金が必要なときに有効になる。繰り下げ中に例えば68歳で亡くなれば、3年分は未支給年金として遺族がもらえることも知っておこう。

最後の7番目は「繰り下げ」「長く働く」「自己資金」という3つの要素を総合的に考える大切さだ。

従来、自己資金は年金に上乗せする形で細く長く使うイメージで考えられてきた(図Cのa)。しかし、預貯金のほか個人型確定拠出年金(イデコ)や少額投資非課税制度(NISA)などを活用してためた資金も途中で尽きるのではと不安を持つ人は多い。

最近、専門家の間で関心が高まっている考え方は、できるだけ長く働いたうえで「年金の繰り下げ受給で増額するまで、自己資金を継投策として使うこと」(社会保険労務士の谷内陽一氏)だ(図Cのb)。年金の最大の特徴は終身給付であり、増額した年金が終身で続く利点がある。

その場合も急な資金需要に備えて一定額の自己資金を持ち続けることは必要で、aかbかを完全に切り分ける必要はない。どちらに重点をおくかは、働ける期間や自己資金の額などでも変わってくるだろう。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2019年12月21日付]