令和は豊かさ二極化の時代 長期投資で勝ち抜こう積立王子のヤング投資入門(30)

5月に始まった令和元年も年の瀬を迎えました。2019年は同時に平成期終焉(しゅうえん)の年でもあったわけですが、30年間続いた平成ニッポンはおしなべてデフレという経済の病に悩まされ続けた時代でした。

デフレに苦しんだ平成ニッポン

デフレとは経済が成長できなくなる病気です。そのメカニズムは豊かになりきった経済で生活者が充足した結果、まずモノやサービスへの需要が頭打ちになります。すると企業側は提供価格を引き下げて需要喚起を図りますが、それがあらゆる業種に広がっていくと、生活者側はもっと物価は下がるのではと感じるようになり、さらに消費を控えます。案の定、また値下がりすると、初めのころは消費者天国とばかりみんな喜びますが、やがて企業は売り上げが減って経営が厳しくなり、従業員の給与を減らさざるを得なくなるのです。

資本主義社会では、生活者はイコール企業で働く供給者側でもあります。気がつくと自らの所得が減っていることに直面し、そうなれば人はますます財布のひもを締めるわけで、一層消費が減退します。

企業もまた価格を下げざるを得なくなって、ますます給与がカットされ、次には耐えきれず人員削減のリストラが始まります。そうして企業の事業スケールが小さくなっていけば、日本経済全体の経済規模も縮小。すなわち経済成長が成立しなくなる、悪いサイクルが止まらなくなり、いわゆる「デフレスパイラル」と呼ばれる症状に陥るのです。

デフレは終わったのか?

7年前にアベノミクスが始まって、ようやくデフレは止まったと言われますが、18年の実質賃金は1997年比で1割減ったままです。ヤングの皆さんは今でもより低価格のモノやサービスを求めて動いていますよね?

私たち日本の生活者の間では、こうした負の連鎖がいまだ続いている一方で、一部の富裕層とインバウンドと呼ばれる海外の人たちによる需要が、全体の物価低下を食い止めている状態なのでしょう。

日本で外国の方を見かけることはなじみの光景になりました。例えば超高級ホテルでは訪日客が主流だし、デパートの高額消費は海外からの観光客で支えられているといったように消費は二極化しています。世界の主要国は軒並み所得が増えているため、私たち日本人は相対的に随分と貧しくなってしまったと言わざるを得ないのです。

直視せざるを得ない悲観論

平成のデフレ経済下で日本の産業界は苦境が続き、グローバル経済における競争力は低下しました。この先も対外競争力に劣る企業は衰退を免れず、それゆえそこに属する従業員の給与所得は相対的に減り続ける可能性があります。日本の生活者は今の社会構造に依拠して受動的に過ごしている限り、じわりじわりと豊かさを失っていくという悲観論も仮説に据えておくべきでしょう。

その上で、たとえ日本の衰退が徐々に進もうとも、自らのお金をグローバル経済の中で育てるとしたらどうでしょう? 今後も持続すると考えられる世界の経済成長を養分として、相応の果実を得られれば、この先の日本社会でも相対的に豊かな人生を獲得することができるでしょう。そのための行動手段こそが、当該コラムでずっとヤング諸氏に伝え続けてきた「国際分散投資による長期資産形成」なのです。

個人型の確定拠出年金「イデコ」と積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」はそれを多くの生活者に実現してもらうために構築された非課税制度です。ヤングの皆さんの間では、これから令和時代を通じて、無為無策のまま徐々に落ち込んでいく人たちと、世界経済の成長を享受して豊かな人生を実現する人たちとで二極化が進むでしょう。即ち格差社会が一層顕在化すると考えられる中で、先んじて豊かさを実現する側にまわっていただきたいのです。早速長期積立分散投資の実践へと、行動を起こしていきましょう!

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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