毎回欠かさず見たいテレビ番組 年間1位は『3年A組』
録画や見逃し配信などが広がり、今やテレビ番組の人気は、リアルタイムの世帯視聴率だけでは測れなくなっている。視聴率と違う角度から、見る人の"熱度"を表すのがCCCマーケティングが計測する「継続率」。これは、番組の各回を見た視聴者が、続いて次の回も見る割合を示したデータだ(録画視聴も含む)。つまり、「毎回欠かさず見たい」と、視聴者を引き付ける力の強さを表す指標と位置づけることができる。
連続ドラマの継続率年間1位は、日本テレビ系で1月期に放送された『3年A組―今から皆さんは、人質です―』。菅田将暉演じる高校の美術教師が卒業式を間近に控えた生徒を人質に学校を封鎖、"最後の授業"を行うというサスペンス。謎とメッセージ性の高さから話題となり、視聴率も徐々に上がった作品だった。
2位は、大泉洋演じるサラリーマンが廃部間近の社会人ラグビー部のGMとなり、その復活に奔走する『ノーサイド・ゲーム』。続く3位の『グッドワイフ』は夫がスキャンダルで逮捕され、子どもたちを守るために16年ぶりに弁護士に復帰する妻を常磐貴子が演じた。いずれも数々の困難に立ち向かう主人公の姿が、視聴者の興味を引いたといえるだろう。
日曜21時に放送されたこの2本を含め、トップ10中6本がTBSのドラマ。人間関係のストレスで仕事も恋人も捨てて新しい生活を始める28歳の女性が主人公の『凪のお暇』(4位)、鈍感アラサー女子と3人の男性とのラブコメディ『初めて恋をした日に読む話』(9位)など、女性視聴者から高い支持を得た作品も目立つ。一方、世帯視聴率ランキングでは上位の常連である『相棒』など、テレビ朝日が得意とする刑事ドラマは、トップ10からは漏れる結果となった。
宮藤官九郎が脚本を務めたNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』は7位。初めて日本がオリンピックに出場した1912年から、1964年に東京オリンピックを開催するまでの約50年を描いた同作は、大河ドラマ史上初めて全話の平均視聴率が1桁に終わった。しかし継続率の結果からは、熱心な固定ファンは獲得していたことがうかがえる。
バラエティ番組の継続率1位は日本テレビ系の『世界の果てまでイッテQ!』。かつては視聴率20%超えの常連だったが、19年は裏番組の『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)の後じんを拝することが増えた。しかし、珍獣や温泉などを求めて、灼熱の砂漠から極寒の地まで世界を駆け巡る企画に、今も熱心な番組ファンが多数いるようだ。
2位の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は、お笑い芸人が自ら提唱する様々な「説」を検証するというスタイルの番組。いわゆる"ドッキリ"や隠しカメラを使った撮影など過激な企画も多いが、19年5月の「新元号を当てるまで脱出できない生活」は笑いとともに感動を生み、同月のギャラクシー賞を受賞。SNSでバズることも多く、お笑いファンからの高い支持を誇る。
続く3位は街のユニークな一般人を紹介するマツコ・デラックスと村上信五司会の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)。4位には様々なテーマで集められたお笑い芸人による集団トーク番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)が入った。いずれも23時台スタートと遅めの時間帯ながら高い継続率を誇っており、根強いファンが多数いることが分かる。
(日経エンタテインメント! 山本伸夫)
[日経エンタテインメント! 2019年12月号の記事を再構成]
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