検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

犯罪も抑止?ストレス激減 不思議なヨガの科学的効果

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

古代インドで誕生したヨガは、現代のストレスを軽くしてくれると、世界各地で実践者が増えている。米国では、健康維持法の一つとして奨励され、悟りを開いたり、さまざまな病気を治療したりする方法としても注目されている。ナショナル ジオグラフィック2020年1月号のテーマ「健康に生きる」では、ジャーナリストのフラン・スミスが、最新の科学的な研究を紹介しながら、ヨガが私たちにもたらすものをリポートする。

◇  ◇  ◇

米国フロリダ州にあるジャクソンビル郡裁判所。黒い法衣をまとったエレニー・デルク判事は、法衣の下に派手な柄のヨガ・パンツをはいている。デルクがヨガに出合ったのは25年以上前のこと。当時、彼女はクローン病を患い、激しい腹痛に苦しんでいた。医師からは手術を勧められたが、それは避けたかった。そこで、ヨガの講師をしているいとこに相談した。いとこは、倒立などをする「インバージョン(逆さのポーズ)」を教えてくれた。科学的根拠はないが、体内の毒素を一掃してくれるといわれている。デルクの痛みはすぐに治まった。「ヨガは命の恩人です」と彼女は語る。

デルクは訓練を受けてヨガの講師になり、今では裁判所の芝地で無料の講習会を開いている。裁判の途中に休憩をとり、陪審員たちを立たせてストレッチや深呼吸をさせることもある。だが、デルクが法曹界で有名な一番の理由は、有罪判決を下した受刑者にも、服役中にヨガを実践するよう命じているからだ。

デルクが担当する事件は、万引きや少量の麻薬所持、飲酒運転など、最高で刑期1年の軽犯罪だ。受刑者は「ヨガ4チェンジ」というプログラムを毎週受講すると、刑期を4割以上短縮できる。ヨガは内心の葛藤を鎮め、犯罪行為を引き起こす怒りや不安、悩み、衝動を抑えてくれると、デルクは考えている。

当初は同僚たちから不信の目で見られ、戸惑う受刑者もいたというが、ジャクソンビル郡内の3カ所の刑務所で評価によれば、ヨガのプログラムに6週間参加した受刑者たちは、熟睡できるようになり、体調が改善し、怒りや不安感を抑えられるようになったという。今では新たに2人の郡判事がヨガの受講を勧めるようになった。

ヨガの健康効果を証明するのは難しい。大半の研究は被験者が少な過ぎて結論を出せない。政府や製薬会社などの業界による助成がないことも大きな理由の一つだ。

米ハーバード大学の神経科学者で、ヨガの講師も務めるサト・ビル・シン・ハルサは、ヨガの効果の解明にはまだ長い時間がかかると認める。「それでも、効果は実証済みだといえると思います」。ハルサは不眠症やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安障害、慢性ストレスに対するヨガの影響を研究し、なかでも慢性ストレスに大きな効果があることを確認している。

ストレスは万病のもととなるばかりか、不健全な食生活や睡眠障害、アルコールや薬物への依存などの悪習慣を引き起こしている。「現代医療は慢性疾患を予防できていません」

ハルサは1971年にヨガに取り組み始めた。最近では、エピジェネティクス(後天的な遺伝子の働きの変化)や、ニューロイメージング(脳機能の画像化)の研究によって身体と脳の相互作用の解明が進み、ヨガの効果も明らかになりつつあると、熱い口調で語ってくれた。つまり、ヨガのもつ力は実践者の単なる思い込みではないということだ。

ノルウェーで行われた調査では、10人の被験者の血液を、ヨガを2時間行う前と後に採取して分析した。すると、ヨガの後では体内を循環する免疫細胞内の遺伝子が著しく活性化していることがわかった。また、乳がんを克服した患者を研究する米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のチームは、多くの疾患の原因とみられる炎症を引き起こす遺伝子の発現をヨガが抑制することを突きとめている。

また米国立衛生研究所によると、脳の灰白質は通常、加齢とともに減少するが、長年ヨガを実践してきた人々は年齢の割には進行していないという。さらに、ヨガの実践者は、記憶や感情の抑制をつかさどる海馬や、集中力や自己認識機能に関わる部位など、いくつもの脳の領域が一般的な人よりも発達している。

ヨガの効果はこれらの研究によって科学的に裏付けられてはいるが、古代の精神修養法であるヨガが現代のせわしないストレス社会で人気なのは、そうした理由からではない。「ヨガは人々を根本から幸せにして、現代社会を生きる力をくれます」と、ハルサは言う。

(文 Fran Smith、写真 Andy Richter、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年1月号の記事を再構成]

[参考]要約して紹介した「ヨガで心の安らぎを」は、痛みや癒やしをリポートするナショナル ジオグラフィック日本版2020年1月号「健康に生きる」の特集の1つです。この号では、痛みを抑えるオピオイド系鎮痛剤と社会問題化している中毒を取り上げた「痛みを和らげる科学」。このほか「ロボットとお年寄り」「人体にすむ微生物」「長寿の食卓」「女性の健康」を取り上げています。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年1月号[雑誌]

著者 : 日経ナショナルジオグラフィック
出版 : 日経ナショナルジオグラフィック社
価格 : 1,131円 (税込み)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_