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ついに発見! 古代エジプト人が頭に載せた謎の円すい

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ナショナルジオグラフィック日本版

古代エジプト美術には、頭に円すい形の「何か」を載せた人々が登場する。パピルスの巻物やひつぎに描かれた王族の晩さん会や神聖な儀式には、頭に円すいを載せた男女が集まっている。特定の神々と結び付くとされた、出産の風景を描いた作品に描かれることもある。2019年12月10日付けで学術誌「Antiquity」で発表された最新の論文によれば、ある国際的な考古学チームがついにこの円すいを発見した。

古代エジプトでは1000年以上にわたり、この円すいが広く描かれ続けたが、実在したかどうかは不明で、その意味も解明されていなかった。この謎めいた物体が発掘されたことはなく、一部の学者は単なる象徴にすぎないと考えるようになった。キリスト教美術の聖人や天使の図像に描かれた光背のようなものだ。

円すいが発掘されたのは、古代エジプトの都市アマルナの共同墓地。ツタンカーメンの父とされるアクエンアテンが建てた寺院のある場所だ。

アマルナは紀元前14世紀に急いで建設され、わずか15年ほどで放棄された。当時の人口は約3万人。豪華な墓地に埋葬された上流階級層は10%程度で、残りの一般市民は質素な墓地に埋葬された。一般市民の墓地で価値あるものが見つかることは少ないが、2009年、アマルナ・プロジェクトのメンバーたちが謎の円すいの遺物を発見した。アマルナ・プロジェクトは英ケンブリッジ大学が主導するプロジェクトで、ナショナル ジオグラフィック協会も資金援助を行っている。

すでに発掘調査から10年たっているが、オーストラリア、モナシュ大学の考古学者アナ・スティーブンス氏は、円すいを発見した日のことをはっきり覚えている。そのとき、「これはたぶん頭の円すいよ!」とプロジェクトメンバーのメアリー・シェパーソン氏が叫んだ。スティーブンス氏が駆け寄ると、女性の頭蓋骨の上にそれがあった。スティーブンス氏はアマルナ・プロジェクトのアシスタントディレクターで、現在、共同墓地の調査の指揮を執っている。

「私たちがそれまでほかの墓地で見てきたものとは全く違いました」とスティーブンス氏は振り返る。しかし、それは古代エジプト美術でよく目にする奇妙な円すいにそっくりだった。その後、性別不明の大人の墓地からも、別の円すいが発見された。

脂の塊ではなかった

スティーブンス氏らが資金を確保して調査を完了するまでに10年近くかかった結果、もう一つの仮説を検証することもできた。頭の円すいは香り付けした獣の脂の塊で、体温によって少しずつ溶け、良い香りを放つヘアジェルのような役割を果たしていたという説だ。

アマルナで発掘された遺物から分かった結果は、円すいは古代の整髪料だったという説を否定しているようだ。その構造は塊ではなく中空で、黒褐色の有機物に覆われていた。有機物は織物だろうと研究チームは考えている。

2つの円すいには、ワックスの化学的な痕跡も残されていた。知られている限り、古代エジプトで唯一使われていた生物由来のワックスは蜜ろうだけであり、研究チームは蜜ろうと結論づけている。さらに、最も保存状態の良い骨格の毛髪を調べたところ、ワックスの痕跡は見当たらなかった。

古代エジプト美術で円すいと出産が関連づけられていること、少なくとも1つの遺体が大人の女性だったことから、頭上の円すいは多産と何らかの関係があったのではないかと、研究チームは推測している。ただし、発見されたのが一般市民の墓地だったこともあり、その背景にある意味を解釈するのは難しい。

オーストラリア、シドニー大学の考古学者ニコラ・ハリントン氏によれば、古代エジプトの図像では、頭に円すいを載せている人々の大部分が上流階級だが、召使に見える人物もいるという。ほかの遺跡の墓地に比べると、アマルナの墓地には図像が少ないものの、頭に円すいを載せ、埋葬の準備やささげ物をしている人物が描かれているものもある。「基本的に、(円すいは)神前で身に着けるものなのでしょう」

脊椎が折れ、変形性関節症も

円すいを身に着けた女性について、ハリントン氏は独自の仮説を立てている。踊り子だ。2つの遺体の脊椎は折れており、片方には変形性関節症も見られた。

古代エジプトの一般市民はストレスの多い暮らしと過酷な労働を強いられていたため、骨に異常があるのは当然かもしれない。だが、疲労骨折や圧迫骨折は踊り子の職業病だと、ハリントン氏は指摘する。頭上の円すいはおそらく、「神に仕えているという印だったのでしょう」。そう考えれば、「簡素な埋葬」であるにもかかわらず、頭に円すいを載せていたことも説明できる。

円すいがどのように使われていたか、どれくらい広く使われていたかを知るには、さらに考古学的な証拠を集める必要がある。残念ながら、さらなる証拠は見つからないかもしれないと、スティーブンス氏は述べている。「エジプト学が生まれた当時、発掘調査は大急ぎで、成り行き任せに近い状態でした」

現在は慎重に作業を進めるようになったため、今後の発掘調査で新たな円すいが見つかる可能性は確かにある。しかし、過去の発掘調査では、円すいの存在を完全に見落としていた恐れがある。

たとえ3つ目の円すいがもう存在しなくても、この発見には十分な価値がある。考古学者たちは公的な記録や精巧に装飾された墓地を調べ、古代エジプトの上流階級について多くのことを知ったが、一般市民を取り上げた文献や作品は少なく、市民生活は謎に包まれている。古代エジプトに暮らした人々の大多数は一般市民だ。だからこそ今回の発見はとても貴重だ。古代エジプトの地中に、数え切れないほどの物語がまだ埋まっていることを思い出させてくれた。

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年12月14日付]

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