日本酒専用セラー マイナス5度保存の威力は絶大

アクアの親会社の中国ハイアールはワインセラーで9年連続世界シェアNo.1の実績を持つ。そのプラットフォームを利用し、約1年半をかけて開発した。さらに、市場でのニーズを探るため、テストマーケティングとしてクラウドファウンディングを利用した。2019年3月の募集開始から1週間で目標金額達成、最終的には目標金額の397%もの支援が集まった。今後はウェブでの販売のほか、酒販店の角打ちスペースで利用してもらうなど、実際に楽しみ方をプレゼンしながら日本酒の楽しみ方を広めていきたいという。

マイナス5度保存の効果は?

SAKE CABINETの実際の効果を調べるため、同銘柄の日本酒を以下の異なる環境で3週間保存し、飲み比べをさせてもらった。

(1)開栓後、常温保存 
(2)開栓後、冷蔵庫保存 
(3)開栓後、SAKE CABINETにおいてマイナス5度で保存 
(4)開栓せず、SAKE CABINET においてマイナス5度で保存
同じ日本酒を保存方法を変えて4種類試した。(1)→(4)の順に風味や味わいがフレッシュに感じられた

(1)~(3)は、ボトルが半分空いた状態で保存したものだ。結論からいうと、SAKE CABINETで保存した効果はてきめんで、明らかに風味や味わいに違いが感じられた。

まず、「オフィスのデスクの上で汗をかいていた」状況で保存されていた(1)は、温度が上がるにつれ、どんどん古い米ぬかのようなひねた印象に。「安酒って感じですね」などと厳しい意見も。冷蔵庫保存されていた(2)は、(1)に比べて悪くはないのだが、(3)(4)に比べると風味やうまみが落ちてしまっていた。冷蔵庫は1日に何度も開閉するため、温度変化や振動が大きく、日本酒の保存にはやはり適さないようだ。

一方、酒質がキープされていたのが(3)と(4)、SAKE CABINETで保存されていた2種類だ。本来の味わいに一番近いであろう(4)は、青さすら感じるほどのフレッシュ感。繊細な風味や口あたりが印象的だった。少し空気に触れた状態で適切な環境で保存された(3)は、香りがより開いて華やか。「今飲むんだったら、(3)の方が好み」という意見もあったほどだ。「お酒は開栓したらすぐに飲まないといけない」と思いがちだが、SAKE CABINETで保存すれば、開栓したお酒でもある程度フレッシュさをキープしたまま保管できることがよくわかった。特に、温度管理に敏感な生酒ほど開栓してからの品質保持の効果を感じやすいという。日本酒バーのように色々なお酒を開けて少しずつ楽しみたいといった使い方ができれば、毎晩の楽しみが広がりそうだ。

酒蔵と消費者をつなぎ、日本酒ファンを増やす

専用アプリから保存状態の保証された日本酒を購入できる

「セラーを持っているからこそ体験できることを提供したい」と吉田氏。今後の展開として、SAKE CABINETを通して消費者と酒蔵をつなげるような企画も検討中だ。そのアイディアの一つが、専用アプリ「SHUGO」と連携した使い方だ。具体的には、アプリからセラー庫内に貼ってあるQRコードを読み込むと、所有者情報がサーバーへ送られ、限定のお酒が蔵から直送で買えるという仕組みだ。お酒は、生産本数の少ない希少アイテムやオリジナル商品などを準備中で、それらはすべて冷蔵温度で配送されるため、品質が保証されているという安心感がある。蔵元にとっても、最適な日本酒の管理環境を持った消費者のもとにお酒が届くことがわかっているため、温度管理が重要になる新しい商品にもチャレンジすることが可能になる。吉田氏は「日本酒は地域産業に深く根付いた伝統産業。日本酒の新たな楽しみ方を提案し、ファンを増やすことで、業界全体を活性化させていければ」と話す。今後は、アプリを通して購入できるアイテムをさらに充実させていくほか、酒蔵を囲んで日本酒を楽しむ会を開催するなど、酒蔵と連携したコンテンツを増やしていく予定だ。

水上彩
シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。
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