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桐・竹・メイプル 木製ヘッドホン、音の違い聴き比べ

「年の差30」最新AV探訪

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NIKKEI STYLE

本体外側のハウジング部分に木材を使用したヘッドホンは、見た目に温かみがあるだけでなく音にも特徴があり、オーディオメーカー各社はその響きを生かした製品を作っている。今回は桐(きり)、竹、メイプルという異なる素材を使った3つのヘッドホンを、平成生まれのライターと昭和世代のオーディオ・ビジュアル評論家が聴き比べた。

豊かな響きと広がりが特徴

小沼理(27歳のライター) 今回はハウジングに「木」の素材を使ったヘッドホンを聴き比べます。それにしてもヘッドホンに使われる木材がメーカーによって異なるのには驚きました。

小原由夫(55歳のオーディオ・ビジュアル評論家) こういう比較は日本メーカーならではの企画なんです。木を使うことにこだわるメーカーは、日本には多いですから。

小沼 そもそもの話ですけど、木を使ったヘッドホンにはどんな特徴があるんでしょう?

小原 木材特有の豊かな響きや、広がりが生まれます。最近はスピーカーもヘッドホンも、ハウジングには硬い素材を使って全体を響かせないのが主流。こうすると余計な音をつけず、ドライバーユニットから出した音をそのまま聞かせることができるんです。一方、木のハウジングは適度に共振があるので、振動して音に影響します。その響きをあえて生かしたのが木のヘッドホンですね。

小沼 外見だけではなくて音にも影響するんですね。

小原 今回は桐を使ったONKYO「SN-1」、竹を使ったDENON「AH-D9200」、メイプルを使ったオーディオテクニカ「ATH-WP900」の3つをそろえました。それぞれにまったく違うキャラクターがあるので、聴き応えがありますよ。

【桐】澄み切った音が魅力/「SN-1」

小沼 まずはONKYO「SN-1」。高級和楽器などにも使われる、福島県会津地方産の桐を使っています。価格は税込みで36万円と、今回の中では一番高額。開発したONKYOからは、こんなコメントをもらっています。

 桐は日本古来の和楽器に用いられ、中でも箏(そう)や琵琶に使われる素材です。多孔質で音の濁りが少なく、倍音までもきれいに響かせる性質に注目しました。「SN-1」では、一つ一つの音の距離感を明瞭に再現し、現場でその音を聞いているような、どの音が強調されるわけでもない自然な音を目指しました。(ONKYO)

小原 桐というと、僕からすると桐タンスとか、高級な日本酒が入っている箱のイメージ。小沼さん、いかがでしたか?

小沼 僕は音質だけで言えば一番よかったです。とにかく、音自体がきれいなんですよ。澄み切っていて、音に聴きほれる感覚を味わえました。

小原 たしかに、すごくきれいな音ですよね。桐は軽い木材なので音が響きすぎるんじゃないかと思っていたけど、「SN-1」はハウジングの内側にうろこのような彫りを入れて、響きをコントロールしている。この工夫には感心しました。ただ、僕個人としては物足りなかった。

小沼 どんなところが物足りなかったのでしょう?

小原 絶対的な低音が足りないんですよ。クラシックやジャズを聴いたとき、打楽器やベースの量感が足りなくて、ぐっとこない。ビートの効いた音楽には向かないと感じます。静かな弦楽四重奏やピアノソナタ、シンプルなボーカルには最適だと思いますけどね。全体としては、きれいな音に陶酔することはできるけど、音楽に乗ることができないと感じました。

小沼 デザインはどうでしょうか? 塗装も最小限にとどめ、桐の素材感を生かしています。

小原 「SN-1」は約36万円という価格ですが、もっと値段相応の高級感がほしかった。購入時は大きな桐箱に入っていて高級感がありますが、本体は案外素朴ですよね。

小沼 いかにも高そうに見えるわけではないシンプルさが好きだという人もいると思うので、この点は好みによるかもしれませんね。

【竹】音のバランスが絶妙/「AH-D9200」

小沼 次はDENON「AH-D9200」。高知県産の孟宗竹(モウソウチク)をハウジングに使用したヘッドホンで、実勢価格16万9000円前後。DENONからはこんなコメントをもらいました。

 竹は剛性が高く、軽量で、しかも制振性が高い素材であり、音響特性が優れた素材です。ただ、竹と言っても今回採用したのは高知県産の孟宗竹。適切な管理下で育てられ品質が優れていること、経年変化による反りや狂いを抑える前加工を施した上で工業用品の精度を高めたことでの製作が実現できました。
 孟宗竹ハウジングは音にクセがなく、クリアで、解像度が高いのが特徴です。その音響特性を生かした結果、繊細で、空間感のあるサウンドに仕上がったと思います。実際聴いていると、曲によってはスピーカーで再生していると錯覚してしまうかもしれません。
 製作では、DENONのハイファイ製品で実現している方向性をそのまま反映させたいと考えました。鮮明で解像度が高く、かつスケール感のある音場空間を提示するものですが、そのためにはより純度が高くナチュラルな質感も必要となります。「AH-D9200」は、フラグシップ機にふさわしくこれらを高いレベルで実現できたと考えます。(DENON)

小原 僕は3つの中では一番好きでしたね。すっと抜けていく高域の響きがきれいですし、それでいて低音もしっかり出ている。低域から高域までのバランスが絶妙だと感じました。

小沼 たしかにしっかりとした音作りでしたね。低音が重要なEDMでも、ビートを体で感じながら聴くことができました。

小原 ロックのグルーブ感もしっかり表現できています。周波数レンジもダイナミックレンジもバランスがとれていて、どんな音楽を聴いても良いと思います。デザインもかっこよかったですね。ヘッドバンドのステッチにもこだわりが感じられて、所有感を満たしてくれます。

小沼 ハンガーのアルミとイヤーパッドの人工皮革、そして竹という異素材の組み合わせが格好良いですよね。イヤーパッドはやわらかくて、つけ心地が良かったです。

【メイプル】軽くてフィット感抜群/「ATH-WP900」

小沼 3つめがオーディオテクニカの「ATH-WP900」。メイプル材「フレイムメイプル」を使っており、実勢価格8万8000円前後です。他2つと比べると安く感じますが、それでも8万円はなかなかですね。まず、オーディオテクニカからのコメントです。

 メイプルは他の木材と比べて軽量で硬質な素材のため、クリアな音響特性を狙いやすく、強度面で優れています。重ねて、突出した素材の美麗さもありこの素材を採用しました。木のヘッドホンはトラディショナルで落ち着きのあるイメージがありますが、炎の揺らぎのような木目のフレイムメイプルを使うことでこれまでオーディオに興味がなかった若年層やなじみの薄い方々、楽器を愛する方々まで広く興味を持っていただけるだけの発信力のあるアクティブな顔つきに仕上げられるのではないかと考えました。
 メイプルは硬質で繊維が緻密なので、高域特性(スカッと抜けるような高音の響き)に優れています。「ATH-WP900」は、ポータブルに弊社の密閉WOODヘッドホンの特性を落とし込むため、パワーのある53mmユニットを用いて低域の力強さを担保し、メイプル材で中高域の抜けの良さを狙って部品選定を行いました。(オーディオテクニカ)

小原 オーディオテクニカは昔から木を使ったヘッドホンには力を入れているんですよ。過去には桜材を使ったアニバーサリーモデルなどを製作しています。ただ、それらは限定モデルだったのに対し、この「ATH-WP900」はスタンダードモデルとなっています。

小沼 「ATH-WP900」はONKYOの「SN-1」とはまた違った高音の良さがありましたね。きらきらしていて、女性ボーカルのJ-POPを聴いていて心地よかったです。

小原 音作りの軸が中高域寄りなんですよね。その意味では、僕としてはもう少し低域の厚みがほしかったところでした。ただ、3つの中では一番ポータブルですよね。軽くてフィット感もあるし、通勤通学に使うならこれが一番ではないでしょうか。

小沼 ONKYOとDENONがインドアリスニング用に作っているのに対し、オーディオテクニカはポータビリティも考えながら作っていますよね。フレイムメイプルの木目も特徴的です。

小原 フレイムメイプルはギターやバイオリンなどの弦楽器によく使われているよね。俗に言う「トラ杢」(とらもく)っていうヤツです。存在感があって格好良いです。

素材の個性を生かした特別なヘッドホン

小沼 3つのヘッドホンを見てきましたが、どれも素材の個性を生かした製品づくりでしたね。小原さんはどれが好みでしたか?

小原 僕は音の良さ、デザインともに竹を使ったDENONの「AH-D9200」ですね。このヘッドホンでじっくり音楽を聴きたいと思います。小沼さんは?

小沼 僕は音で言えば桐を使ったONKYOの「SN-1」。高音の美しさが格別で、素材を生かしたヘッドホンという意味でも推したいです。ただ、どれか一つ買うとしたらオーディオテクニカの「ATH-WP900」を選ぶと思いますね。

小原 それはどうして?

小沼 「ATH-WP900」の携帯性の高さが魅力でした。外出時に使えるのもそうですし、僕は自宅でも家事などをしながら音楽を聴くことが多いんです。動きながら聴くことを考えたら、「ATH-WP900」が理想的でした。「SN-1」は、じっくり音楽に聴き入る余裕ができたらぜひ手に入れたいですね(笑)。

◇  ◇  ◇

桐、竹、メイプルという異なる素材を使ったヘッドホンは、それぞれに特徴があった。ハウジングをあえて響かせ、個性ある音作りを目指しているのが木のヘッドホン。つまり、オールマイティーな優等生ではなく特別なヘッドホンを目指して作られているのだ。予算的に余裕のある人は、そのデザインや自分が普段聴いている音楽にあわせて選んでみては。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。今回の試聴で使ったアルバムは「ファインディング・ガブリエル」(ブラッド・メルドー)など。
小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。今回の試聴で使ったアルバムは「JESUS IS KING」(カニエ・ウェスト)など。

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