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えっ、今から緊急手術!? 思わぬ大病から感謝の生還

立川談笑

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NIKKEI STYLE

このほど私自身が見舞われた病気の話をします。まるで予期してなかった緊急手術と、入院という強制的休業にまつわるあれこれを振り返ってみますね。いやあ、びっくりしました。病名は「大腸(S状結腸)穿孔(せんこう)」です。

穿孔とは穴が開くこと。ネットで見つけた論文によると、こんな病気だそうです。「大腸穿孔は糞便(ふんべん)性の腹膜炎から敗血症性ショックを容易に引き起こし、早期の手術や集中治療にもかかわらず救命できない症例もある」(日本消化器外科学会雑誌)。「死亡率も高い」なんて書いてありますから、とても怖い病気です。

これまで病気とは縁がなく、油断していました。現在、54歳。見えないところで経年劣化は進んでいるんだろうなとは思いつつも、軽い肥満とこれまた軽い高血圧程度だから「まだまだ心配ない」と高をくくっておりました。いけませんなあ。

「ま、明日でいいか」は大間違い

ことの始まりは11月19日の昼すぎ。家でのんびりしていると、下腹部に張りを感じました。普通に言うと「屁(へ)が出ない」。あの感覚です。ブーなりスーなり出てくれりゃあすっきり楽になるのにと、さほど気にも留めずそのまま夕方になって赤坂の落語会に向かいました。柳家三三師匠との二人会です。協会は違えどほぼ同期の気安さで、「屁が出なくってねー」なんて楽屋で笑って話をしてました。落語を2席。

翌20日。夜中に38.8度の高熱が出たので、近所の内科クリニックを受診しました。この時期だからインフルエンザかもしれないと心配したのです。様々な検査の結果、インフルエンザは陰性。

劇症型の感染症を引き起こす溶連菌(溶血性レンサ球菌)も陰性で、下腹部痛も結石によるものではなさそうだ、と。残る問題は血液検査で、かなり異常な数値があってどこか炎症を起こしているらしい。結果、「大腸炎の可能性があります」というお見立てで、総合病院への紹介状を書いてくれました。

この時点でまだ午前中です。その足で総合病院に向かいたいところでしたが、調べてみるとちょうどそこの外来受付を締め切った直後だと分かりました。ダメ元で電話で問い合わせてみると「時間外ですが診察は致しますよ。どうぞお越しください」とのこと。ありがたい。それでも「内科の診察はできますが、消化器系の専門の先生は不在なのでまた明日来ていただくことになるかもしれません。どうしますか?」と。どうしますかと聞かれてもなあ。まあ、二度手間になるなら一度で済ませようか……と明朝あらためて受診することにしました。しかーし、この判断は大間違いでした!

さあ、ここからですよ話は。こっちは素人ですから。ほったらかしといても翌日まで余裕で軽度のままで済むのか、あるいは一分一秒を争う重篤な危険性をはらんでいるのか、皆目分かりません。専門家の知見からの「かもしれない」とか「念のため」でいいから、素人には知らせてほしいなあ。ぜひぜひ医療関係の方、そこんとこをひとつお願いします。

結果として私の場合は大腸穿孔だったので、この時点ですでに生命の危険があったということです。おっと、その病院の名誉のために付け加えておきますと、この翌日、手術だなんだという騒ぎの中でこの電話でのやり取りの話をしたところ、「まさか!」「どうして?」「ウチは絶対に断らないのに」と看護師の皆さん、血相を変えて顔を見合わせてました。だから、あれはたぶん何かの行き違い。電話でのこちらの説明が良くなかったのかなあとも思います。いい病院だもの。それでも、それでも(!)「念のため」をお願いします、本当に。

さて、総合病院での診察を明朝に先送りした私は、帰宅して「あー、屁が出ないってのはつらいもんだねえ」と市販の鎮痛剤を飲んでその夜も仕事に行きました。吉祥寺で弟子たちと毎月やっている「立川談笑一門会」です。その日のマクラでは江戸から明治にかけて活躍した落語中興の祖、今も大円朝とたたえられる三遊亭円朝を引き合いに「私は大円朝には及ばないけど、大腸炎にはなりました。あはは」なーんてほざいてました。あれが最後の高座になったかもしれないのに、のんきなもんです。

「談志まつり」のマクラを考えていたら…

そしていよいよ21日当日。朝いちばんで総合病院の内科外来を訪ねました。この日は有楽町よみうりホールで「談志まつり」の昼公演。午後0時20分から出番があるので病院から直行する構えです。「あのー。この後、大事な仕事がありまして。遅くとも午前11時までにここを出たいんです。検査だとか必要なら午後でも明日でもまた戻ってきますから」とお願いをして、受診しました。待たされることもなくスムーズにいくつかの検査を済ませて、よみうりホールでのマクラなんかをぼんやり考えているところに担当の先生が速足でやってきました。マスクをした顔が目の前にくると、10センチメートルくらいの近距離から言ったセリフが「今から緊急手術をします」。

急なこともあり手術室の手配が難しいというので、別の病院に緊急搬送されてそのまま緊急手術と相成りました。術後の経過も順調で、おかげさまで一命をとりとめて、今こうして文章も書いていられます。日本の医療、ありがとう。保険制度や、それらを支える日本の皆さん、ありがとう。月々の健康保険料が高いとか言ってました。ごめんなさい。お世話になりました。心から感謝しています。

手術が決まった瞬間から突如長期休業をせざるをえなくなり、入院すること15日間。楽しみにしていただいたお客様、関係の皆さん、申し訳ございません。これだけの会に出られませんでした。

「談志まつり2019」(よみうりホール)→代演、立川談慶師匠。
「花形演芸会」(国立演芸場)→代演、立川談幸師匠。
「立川談笑独演会」(山形県内)→「立川吉笑・笑二 二人会」に変更。
「葡萄屋(ぶどうや)寄席 三三・談笑二人会」(群馬県内)→「柳家三三独演会」に変更。
「立川談笑独演会」(正伝寺)→公演中止。
「企業内講演」(愛知県内)→延期。
「みらいブンカVillage らくおも」(文化放送)→代理で昔昔亭A太郎さんが出演。
「やまと寄席」(神奈川県内)→代演、三遊亭白鳥師匠。

 快く代演を引き受けてくださった皆様、ありがとうございます。まだまだ他にも延期させてもらった仕事もあります。お手数をおかけしました。そして私に代わって各所への連絡をしてくれたカミさんにも、もろもろ感謝、感謝です。

今は無事に退院して、高座にも復帰しました。日ごろの生活も見直して、以前にも増してしっかりと落語にも取り組みます。どうぞご期待ください。

師走の忙しい中、どうぞご無事でお過ごしください。今年も一年間、お疲れさまでした。よいお年を!

立川談笑
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧ください。

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