2019/12/25

また、「セカンドキャリアの形成」「社外組織での活躍」をテーマに掲げた募集も多くみられます。みずほ証券では、50歳以上63歳以下の社員について希望退職者を20年1月から3月にかけて募集するとの報道がありました。希望した人のみが対象で、応募後半年以内に次のキャリアが決まらなかった場合、応募の撤回も可能という今までには見られないような内容です。ベテランの社員に対して社内外を含めた柔軟かつ多様な選択肢を提供するもので、従来に見られる人員削減が目的ではなく、早期退職をキャリア形成のための手段と位置付けています。

人生100年時代、セカンドキャリアを考えるなら、ミドルのうちから副業・兼業も含めて選択肢を広げたいという考え方も広まる中、雇用の流動化も進み、多様なテーマを掲げて早期・希望退職者の募集が今後さらに広がっていくと考えられます。

定年を迎える女性たちが今後増加

第一生命研究所の定年に関するアンケート調査(16年)によると、男性は約半数が定年退職を経験しているのに対し、女性は定年退職を経験せず働き続けている人が多いといいます。これは、結婚・出産により就業を中断し、定年制度のない小規模企業に転職した女性が多いことのほか、同じ会社で働き続けている場合でも定年で退職せずにパートなどに雇用変更するなどして勤務延長する女性が多いことが要因にあると考えられます。

しかし、共働き世帯が増加し、法整備などよって、出産後も育児をしながら就労継続が可能な環境が広がりました。生産年齢人口が減少していく中、国も「働き方改革」によって、さらに女性の就労や活躍を後押ししています。

今後、地道にキャリアを継続してきた女性たちが多数、定年を迎えることになるでしょう。かつて、早期退職といえば、定年が前提であった男性正社員を想定したものでしたが、今や女性にとってもミドル以降の課題といえます。

まして、女性の方が男性よりも寿命が長いわけですから、60歳以降の働き方については、より切実になるのではないでしょうか。そう考えると、40代半ば~50代前半あたりの時期で、早期退職の話があれば一つのきっかけとなります。早期退職の話が特になくとも、これからのキャリア形成について、自分自身と向き合ってみるのは良い機会といえます。副業・兼業から何か始めてみるか、思いきって転職して別の活路を見いだすか、このまま企業で専門性を深めていくか、定年まで勤め上げる以外の選択肢も多様化しています。

自分の会社がどのようなタイミングで早期・希望退職制度を実施するか、あるいはいつ自分が早期退職の対象となるか、先は読めません。だからこそ、定期的に自分の職務経歴を振り返ってみたり、社外の人脈を構築して視野を広げてみたり、フレキシブルな対応能力に日ごろから磨きをかけておくことが大切になっていくといえるでしょう。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。