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女性写真家の台頭 ナショジオに見る100年の軌跡

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ナショナル ジオグラフィックの写真家として活躍する女性は、かつては珍しい存在だった。女性といえば、カメラに向かってほほ笑む飾り物にすぎず、その姿を写真に収めるのはもちろん男性と考えられていた。

だが、それは昔のことだ。

ここに1枚の白黒写真がある。撮影されたのは1967年。「世界最高の写真家チーム」と書き添えられた写真に写るのは、スーツにネクタイ姿で、当時のナショナル ジオグラフィック編集長メルビル・ベル・グロブナーのデスクを取り囲む25人の男たちだ。写真歴史家のナオミ・ローゼンブラムは、「この雑誌(そしてその他の出版物)が頼りとしていた写真という共通言語は、ただ男性の目と心のみによって生み出されていた」と書いている。

「それで、写真家はいつ到着するんだね?」

ナショジオ専属の女性写真家だったシシー・ブリンバーグは、1980年代になってもそんな質問を浴びせられたという。

撮影用機材が入ったケースをいくつも引きずりながら、博物館のドアを開けて入ってきたブリンバーグは、ただ一言「彼女ならもう到着してます」と答えるのだった。

2000年に、私(上級編集者のキャシー・ニューマン)が写真部副部長のキャシー・モランと協力してナショナル ジオグラフィックの女性写真家について本を書こうとしていることを、社内のある男性写真家に話したところ、彼は襟についたホコリでも払うかのようにそっけなく答えた。「女性の写真家? 薄い本になりそうだね」

完成したのは、232ページのハードカバーだった。

6年前、長年写真家として活躍し、写真編集者の経験も持つサラ・リーンが、ナショジオ初の女性写真部長に就任した。現在、同誌に写真を寄稿する女性の数は47人(男性は67人)。

だが、本誌ではすでに1914年から女性写真家による写真を採用している。この年に「Young Japan(日本の子どもら)」と題された記事を書いたエライザ・シドモア(参考「桜を愛し、明治・大正の日本を世界に伝えた女性記者」)は、初代編集長のギルバート・ハビー・グロブナーの良き友人で、互いを尊敬しあう仲だった。グロブナーの妻であるエルシーが女性の参政権論者だったこともあり、グロブナーは次のように書き残している。「女性が人を見るとき、しばしば男性が気付かない点に気付くことがある」

ナショジオ創刊から最初の50年間、女性による写真は時折持ち込みという形で編集部に舞い込んできた。ドロシー・ホスマーは、26歳で秘書の仕事を辞めた後、蒸気船の3等室の切符を買ってルーマニアへ渡った。そして自転車でかの国を巡り、写真を撮り、原稿を書いた。記事は1938年に掲載されたが、副編集長のジョン・オリバー・ラゴースは掲載前に懸念を示していたという。「世の母親たちは、これを娘に読ませたいと思うだろうか。こんなものがナショナルジオグラフィックに載って、若い娘が単独で世界を旅しても良いなどと思われてはたまらん」

ハリエット・チャルマーズ・アダムズは、1907年から1935年の間に21本の記事を書き、写真を寄稿した。第1次世界大戦を取材した初の数少ない女性記者のひとりであり、冒険家でもあった。1937年にこの世を去るまでに、コロンブスの旅路をたどり、馬でハイチを横断し、ニューヨーク・タイムズ紙によると「白人女性がそれまで足を踏み入れたことのない20カ所のフロンティアへ到達し、アラスカから南米最南端のフエゴ諸島まで、すべての言語のインディアン部族をまわった」という。

1953年、ナショジオは初の女性専属写真家を採用する。彼女の名はキャスリーン・リーヴィス。メルビル・グロブナーの義理の妹でもあった。ナショジオ初の女性写真編集者のひとりで、リーヴィスと働いた経験のあるメアリー・スミスは、「メルビルは賢い女性のことをちっとも恐れていませんでした。あの世代の男性にしては、女性に対する偏見がまったくない人でした」と話す。

ときには、性の違いが仕事に影響することがある。女性だからドアが開かれた、という場面もある。女性として3人目の専属写真家に採用されたジョディ・コッブによるサウジ女性(1987年10月)と日本の芸者(1995年10月)の写真は、男性には決して撮影できなかった。また、ステファニー・シンクレアによる2011年の児童婚や、リンジー・アダリオによる2019年1月の「出産で命を落とす現実」もやはり、女性ならではの写真である。

ナショジオは、より多くの女性の生き様や声に光を当て、対話のきっかけを作るため、様々な国や文化の女性に協力を求めている。本誌2019年11月号の記事「女性たちが作る新生ルワンダ」では、アフリカ女性の問題に焦点を当てるナイジェリア人写真家のヤガジー・エメジを、「インド 安全に暮らす権利」では、インド人写真家のソーミャ・カンデルワルを起用した。

最後に、これはある写真編集者が抱いた印象だが、女性は被写体との関係や一緒に過ごした経験を語るのが好きなようだという。ステレオタイプに聞こえるのを承知であえて言うなら、その言葉には真実が含まれている。

「腕を広げて、写真を撮った人たちすべてをかき抱きたい思いに駆られることがあります。そして、集めた野の花やベリーをスカートに包んでどこへでも持って行くみたいに、私の心でその人たちをすくい上げたい」。

2018年8月の記事「新しい顔で取り戻す人生」(日本語版11月号)でピュリツァー賞候補になった写真家のマギー・スティーバーは言う。「この人たちは、私の家族と一緒です。シャッターボタンひとつでときは止まり、いつまでも解かれることのない絆が生まれるのです」

次ページでも、ナショジオに寄稿する女性写真家たちの写真を紹介していく。明治期の日本を活写したシドモアや、世界各地の人々の姿、さらには厳しい極地での写真まで堪能いただきたい。

(文 Cathy Newman、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック2019年11月24日付けの記事を再構成]

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