2019年家電は「個電」が人気 調理器具はダイニングへ

ネット家電はいよいよ普及期に入ったか

「あらゆるモノがネットにつながる」とニュースなどでは数年前から取り上げられてきたのに、一般の家庭にはあまり普及しなかったIoT家電、スマート家電ですが、2019年は実用的な新製品がいくつか登場しました。改めて「スマート家電元年」といっていい一年だったと思います。

2019年の特徴は「AI搭載」をうたう家電が登場したことでしょう。例えばパナソニックのエアコン「エオリアXシリーズ」はネットに蓄積されている気象データに家電自身がアクセスして空気清浄や室温コントロールなどをします。日立グローバルライフソリューションの洗濯機「ビッグドラム」は「布量」や「布質」「汚れの量」などを複合的に調整してムダのない洗濯を行います。

家電同士が連携する製品も出てきました。iRobotのロボット掃除機「ルンバ」と「ブラーバ」は、ルンバが先に掃除をし、終わるとブラーバが床拭きをスタートする連携プレーに加え、片方だけを稼働させようとすると、もう一方の掃除は必要か否かを事前にオーナーに確認してくるなど、お互い相手の稼働状況を共有し、家電同士で連携するまでに進化しました。

iRobotの「Roomba i7+」と「Braava jet m6」は家電同士で連携するようになった。ルンバが先に掃除をし、終わったらブラーバがスタートする

「音声操作」も普及してきました。声をかけるだけで操作できる便利さにユーザーが気づき始め、あらゆる家電を音声だけで操作したいというフェーズに入った、といえるでしょう。Amazon EchoやGoogle Homeのようなスマートスピーカーを使って照明やエアコンを操作する家庭は珍しくなくなりました。アイリスオーヤマの「ECOHiLUX」のように照明単体で音声操作ができる製品が登場したのも、そのニーズの高さを示していると言えるでしょう。

アイリスオーヤマ「ECOHiLUX」。これを設置するだけで音声操作ができるようになる。Wi-Fiやスマートスピーカーとの連携設定は不要

家電が離れて暮らす家族をつなぐ

2020年、スマート家電はさらに普及すると思います。

例えばシャープは「COCORO HOME」というサービスで「家電を介して人がつながる世界」を提供しようとしています。スマホのアプリで家電の動作をチェックすると、連携している機器の運転状況や通知などがタイムラインに表示され、外出先からも自宅の状況がわかります。

シャープ:「COCORO+(ココロプラス)」の概念図。家電が複数の家族をつなげるという

この機能があれば、自宅だけでなく、遠方で暮らす実家の状況も把握することが可能です。照明や家電が長時間使われていないことがわかったらすぐに安否を確認するなど、早めに対応することができるようになります。これまでもウェブカメラなどを使った見守りシステムはありましたが、わざわざ専用機器を設置しなければなりませんでした。しかしこのシステムなら改めて機器を設置することなく、生活家電を介して家族がお互いの状況を確認できるようになります。

家の中では「個人」を対象とする製品が増えていますが、それらがインターネットとつながることで、離れた場所に住む家族との距離を縮める存在になる。2020年はそんな新しい「家電」の形が見えてくるのではないでしょうか。

(解説 戸井田園子、取材・文 井上真花)

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