なぜメディアで女性の活躍進まない アジアの記者議論

2019/12/24
女性記者ネットワークのあり方について議論する参加者たち(3日、東京都新宿区)
女性記者ネットワークのあり方について議論する参加者たち(3日、東京都新宿区)

新聞や番組が報じるニュースの多様性をどう高めるか――。アジア・オセアニア地域の女性記者が12月初め、東京都内で話し合った。参加者は様々な視点を持つ人が報道の現場に増えることが重要との認識で一致した。男性中心の職場風土からの脱却や長時間労働の見直しといった課題も浮上した。

3日間のイベントは内閣府の呼びかけで開かれた。池永肇恵・男女共同参画局長は開会にあたり「メディアが伝える内容には多様な視点が欠けているのではないか」と問題提起した。「女性記者が活躍することで発信する内容に多様性が生まれ、人々の意識にも大きな影響を及ぼすことができる」と12カ国・地域から集まった30人を超える参加者に呼びかけた。

確かに、ニュースの現場に女性は少ない。米国を拠点とする非政府組織(NGO)「国際女性メディア財団(IWMF)」が世界59カ国522社のニュース会社に実施した2011年の調査によると、フルタイムで働く女性記者の割合は33%だった。その後増えた可能性はあるが、半数にはなお程遠い。

中でもアジア・オセアニア地域の遅れが目立つ。IWMFのリポートは同地域のメディアで働く人について「男女比が4対1」と指摘する。女性が約半数を占める欧米と比べ、アジアでは女性の管理職が12.9%、記者職が27%と低い水準にとどまる。

メディアで女性の活躍が進みにくい理由として最も多く挙がったのが「時間的な制約」だ。最新のニュースを追うため、仕事が長時間に及ぶ局面がある。どの国でも子育てや親の介護など家族をケアする役割を女性が担うことが多く、仕事との両立を難しくしているようだ。

フィリピンの経済新聞社で働くカイ・オーディナリオさんは、親戚の子供の世話を頼まれたものの、「仕事を休めず、職場に連れて行ったことがある」という。「会社の仕組みと社会、どちらも変化しないと状況は改善しない」と2児を育てながら香港のテレビ局で働くニ・ギョウブンさんは指摘した。働き方改革は待ったなしの状況だ。

シンガポールはアジアでは例外的に女性記者が多く、マネジメント層の女性も珍しくない。ストレート・タイムズ紙のクエック・エン・ラン・オードリーさんもその1人で、国際担当の論説委員を務める。同紙の論説委員12人中、女性が8人という。

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