先進国でも日本は突出 ひとり親の「働いても貧困」

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今年は与党で、未婚のひとり親を支援する税制改正が議論になりました。結婚していたひとり親に比べて損をする制度を見直そうという動きです。両者の格差是正も大切ですが、底流にあるのは、ひとり親家庭に貧困が多い問題です。世界でみても特殊な日本の労働状況も潜んでいます。

ひとり親家庭の8割超を占める母子家庭を中心に見てみましょう。2016年の厚生労働省の推計では、母子家庭は123万世帯あります。30年間で1.5倍になり、最近は横ばいです。子どもがいる世帯のうち、だいたい10世帯に1世帯が母子家庭です。8割が離婚で、未婚と死別が1割弱ずつです。

経済的には厳しい状況です。母子家庭で母親が働いて得る平均年間収入は200万円です。離婚(205万円)、未婚(177万円)、死別(186万円)とも多くはありません。持ち家率は低く、預貯金は「50万円未満」の人が4割です。

世界でみると、日本のひとり親家庭は「働いても貧困」という特殊な状況にあります。日本のひとり親の就労率は8割にのぼり、経済協力開発機構(OECD)のデータに登録されている国では上位にきます。しかし、働いているひとり親の貧困率は5割を超え、世界で突出して高い値となっています。なぜなのでしょうか。

「日本のシングルマザーは男女の賃金格差、正社員と非正規の賃金格差という『二重の格差』の中で働いているため」と、千葉大学の大石亜希子教授は話します。大石教授の研究によると、シングルマザーの労働時間は、非正規でも、働き盛りの成人男性とほぼ同じです。「すでに十分な時間働いている。就労促進による自立支援は限界がある」と大石教授は言います。

改めて注目されているのが養育費です。日本は、別れた父親から養育費を受け取っている母親はおよそ4人に1人だけです。欧米では、別れた親が養育費を払わない場合、行政が介入し徴収したり、行政が立て替えたりする制度があります。日本では国レベルの制度はなく、基本的に「親任せ」です。

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