企業が学生にアプローチ 逆求人サイトの上手な使い方就活探偵団

高まる人気の一方、スカウトサービスを敬遠する学生もいる。都内の私大4年生の藤井由美さん(仮名)はその一人。会員登録を済ませるとまず面食らったのは文章を書く欄の多さだ。内容は学部や志望企業のほかに、昔の経歴や自由記述などで最大で6000字もあった。当初から出版業界を受けると決めていた藤井さんは「めんどくさいから」書くのをやめてしまった。当然のごとく、オファーはゼロだった。

しかし志望していた出版会社には全て落ち、7月に入ってから慌てて他の業界に応募した。「結局、他の業界を受けることになるんだったら、興味のない会社でもオファーをもらっておけばよかったかな」といまでは少し後悔している。

スカウトを使いこなす上で秘訣はないのか。

「人事の目にとまるように、とがっている部分をアピールした」。スカウトサービスを活用して内定を得た関西の私大に通う4年生の坂本健二さん(仮名)はこう解く。

大学時代に多くの時間を登山部に費やした坂本さんは、山頂での自分の写真をサイト上でのプロフィル写真として掲載。文章だけでは伝えにくい「自分らしさ」を前面に出した。中堅飲料メーカーの人事担当者も「証明写真はあまり見かけない。書いたことを表すような写真だとわかりやすくて良い」と話す。

アイルーツの近藤翔太事業部長は「プロフィルをほぼ全て埋めた学生は、記入が少ない学生に比べて7倍ほどオファーを多くもらっている」という。長い自己PR文を書くのは面倒だが、エントリーシートのように1社1社新しく書く手間はない。ここは割り切って埋めるしかないようだ。

面接の準備にもなる

坂本さんはオファーを受け取った際に、企業がオファーを出した理由を教えてくれたため「自分の強みが分かり、戦略を立てて面接に臨めた」と証言する。書くのは大変だが、企業側も本気になって読んでいる。

スカウトサービスの種類も増えてきた。シンク・アンド・アクト(京都市)はラグビー部員限定の「ラガキャリ」を展開。ラグビー部員は年末年始に大学選手権を抱えるなど引退時期が遅いが「受ける企業の選択肢を増やせる」(同社事業責任者の香水雄介氏)。ラガーマンは「一定水準以上のチームワークが期待できる」(中堅食品メーカーの担当者)など企業の評価は高い。

採用支援を手がけるジースタイラス(東京・文京)はリアルな場でのスカウトを実施。同社が開催する「逆求人フェスティバル」では、学生がパソコンのプレゼン画面や手製の紙芝居を用いて採用担当者に自分の強みをアピールする。

プログラミングが得意な学生は、自前のサービスをその場で提案するなど、「本人の考えていることや動機も話しやすい」と採用担当者からの評判もよいという。

「全く名前も知らない会社からオファーが来ても興味を持てなかった」(都内国立大4年の男子学生)という声ももちろんある。スカウトサービスは数ある就活手段のうちのひとつにすぎず、すべての人に適しているわけでない。従来の方法も含めて自ら実際にいくつか試してみて、それぞれに合った就活を進めてみるのがよいのではないだろうか。

(企業報道部 橋本剛志、久貝翔子)

[日経産業新聞 2019年12月18日付]

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