世の中に「もの」が溢れ、さらに様々なツールを通して情報が襲ってくる現代。何が素晴らしく、そして“何が特別なのか?”が見えづらくなっている時代と言えるだろう。しかしながら“本当の上質”を伝えていく、を信条としている弊誌としては、今こそ諸兄に本当の「特別なもの」を提示したい。希少極まりないもの、最高級のクオリティのもの、はたまた、見逃してしまいそうな隠れた逸品。今回厳選した特別は多岐にわたるが、どれも成熟した男に高揚感を与え、所有欲を満たし、思わず笑みがこぼれてしまうものばかり。体感して欲しい。そう……特別なものと過ごす人生は格別だ。
〈 8/10 Special STANDARD 〉旬であり永遠
クラシックな名品は、時折トレンドの一線に躍り出る。最近感度の高い人の間で人気再燃中の「角形時計」や「ダッフルコート」などはその好例。こうした永遠のスタンダードなジャンルこそ、安心して“特別なもの”が選べるというものだ。
[ Key Word “小ぶりのYG角形時計” ]
ビッグサイズな時計のブームは沈静化し、ここ数年昔ながらの小ぶりなケースが時計界のトレンドとなっていることはご承知の通り。中でも最近センスのいい人たちの袖口で目立つのが、アール・デコスタイルの角形時計だ。小ぶりといえ程よい主張があり、知性や男の色気の演出にも効くからだろう。正統派のスーツだけでなく、カジュアルにはハズシとして格好よく、アーティスティックな雰囲気を醸し出せるのも魅力だ。
そんな角形時計で特別な1本が欲しいなら、イエローゴールドケースを狙うのがおすすめだ。じつは昨今の金無垢時計はピンクゴールドが主流で、イエローゴールドは少数。だからこそよりクラシックなダンディズムを示すことができる。それがここで紹介するような超一流メゾンの品なら華やぎも格式も十分。特別な場に映えるのはもちろん、こういう時計を普段からサラリとつけていたら、周囲は確実に一目置いてくれるはずだ。
■左:TIFFANY & CO.(ティファニー)
[ティファニー 1837 メイカーズ]
新たなメンズコレクションから登場した一本。歴史あるティファニーのヘリテージから着想を得ただけに、非常にクラシック。型が正方形というのもかなり希少だろう。秒針の「T」モチーフや立体的なインデックスにより圧倒的な気品も備わる。自動巻き。27×27mm。18KYGケース。 87万円(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)
■右:CARTIER(カルティエ)
[タンク ルイ カルティエ]
芸術家にして稀代のモダニストであった3代目ルイ・カルティエのデザインにより、1917年に誕生したタンクコレクション。その中でもルイ本人が愛用したフォルムや丸みを忠実に伝える本作。アールデコ様式の先駆け、という物語も把握して愛したい“芸術時計”といえる。クォーツ。33.7×25.5mm。18KYGケース。 104万4000円(カルティエ カスタマーサービスセンター)
[ Key Word “チェックダッフル” ]
男のワードローブに不可欠なアウターの1つであるダッフルコートが、今、トレンドとして再注目を集めている。最新ダッフルは素材も色もバリエーションが豊富。各ブランドの個性が様々で、見ているだけでも楽しい。しかし、せっかく新調するのなら、末永く愛せる1着をと思うのが自然だろう。そこで薦めるのが、英国スタイルを礎にしたフレンチトラッドの雄にして、上質なダッフルで名高い“オールドイングランド”のチェックダッフルだ。
11月に渋谷で店舗がオープンしたことを記念するこのダッフルコートは、素材に英国然とした厚手なチェック生地を使用。綾目が立ったその生地は豊かなニュアンスを備えながらも、柄の主張は控えめ。とりわけブラックウォッチのそれは遠目には無地に見えるほどの奥ゆかしい表情だ。そこへ歴史ある王道のデザインが相まって、新鮮味と恒久性の双方の魅力を帯びるのである。なお柄は3種あり、それぞれ7着限定の展開。そんな特別性も愛着を増してくれる。
■OLD ENGLAND(オールドイングランド)
[限定 ビッグチェックダッフル]
1867年にパリで創業した名門「オールドイングランド」。そのメンズ新店舗が11月1日に渋谷スクランブルスクエアに開店。これを記念したチェックダッフルは、英国老舗、ジョシュア エリス社製の、畝の深いトリプルパイル地を使用。重厚感がありながら伸縮性に富み、着心地も素晴らしい。 各17万円(三喜商事)