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驚きの筆記具・競馬新聞紙メモ…2019年の名作文具たち

納富廉邦のステーショナリー進化形

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NIKKEI STYLE

ここ数年、日本の文房具は技術的にもデザイン的にも、かなりハイレベルに達して、画期的な製品や、極端な大ヒット製品は出ていない。それよりもむしろ、その高い技術力や新しい素材などを上手に使って、従来の文房具の不満点を解決したり、より便利に使えるようにすることで、用途や使用範囲を広げたりといった製品が増えている。それは、道具としての完成度がとても高くなっているということでもあり、そういった製品が安価に購入できることも含めて、ユーザーにとっては、とてもありがたいことでもある。

ここでは、2019年の文房具を振り返って、これは名作と思われるものを5点選んでみた。現在の文房具、特に学生向き、子供向きというより、ビジネスマンやフリーランスの働く人に向けた文房具を対象に選んだので、興味があったら、すぐに購入して使ってみてほしい。

クリッカート/サインペンなのにノック式

最初に挙げるのは、ゼブラのノック式サインペン「クリッカート」だ。この製品が出た時には、多くの文具好きが驚いた。キャップなどなしではペン先からインクが蒸発して、書けなくなってしまう水性サインペンなのに、普通のノック式というのは筆記具の常識としては考えられないものだったのだ。ノック式の蛍光マーカーやサインペンがなかったわけではないが、それらはペン先にシャッターのような形で蓋が付いていて、ノックと同時に蓋が開き、芯が出てくるという仕組みのもので、通常のノック式ボールペンのようなシンプルな構造ではなく、それだけペン先も大きく、ノックの動作も大きく重かった。

ところが、この「クリッカート」は普通のボールペンと同じく、ペン先には穴が開いていて、ノックすれば芯が出る構造。だから普通のサインペンのように細い軸デザインになっているし、使い勝手もボールペンと変わらない。そのおかげで、サインペンをボールペンのような普段のメモ書きなどにも楽に使えるようになったのは、とても大きい。いわゆる低粘度油性ボールペンよりも軽く、スイスイと書けて、筆跡も発色も濃く鮮やかで見やすい。価格も税別100円と安価で、デザインもスッキリ。老眼が気になる目には、この見やすさが、とてもありがたいのだ。

空気中の水分を吸収して潤いを約50週間保つというモイストキープインクの開発と、白を基調にした使う人を選ばないデザイン、それをこの低価格で発売する戦略性も含めて、2019年の文房具を代表する製品ではないかと思っている(記事「メーンの筆記具にしたい快適さ 個性派サインペン続々」参照)。

nameLUNA/指をぬらす器具の画期的な進化

もう一つ、これも地味ではあるが、ものすごく画期的だと思ったのが、チロリの「nameLUNA」。いわゆる、切手を貼ったり、書類をめくったりする時に使う、切手や指をぬらす道具なのだけれど、従来のスポンジを使った製品に比べて、あらゆる面で大幅に改良された製品なのだ。ポイントはスポンジではなく、多孔質の珪藻(けいそう)土のような吸水体が使われていること。硬い磁器のような感触ながら、容器に入れた水を吸い上げて、表面が指や切手をぬらすのにちょうどいいくらいに湿るのだ。

そのため、スポンジのように水が出過ぎることもなく、また煮沸消毒できるので清潔を保つことができる。使っていてとても気持ち良く、できれば全国の郵便局やコンビニに置いてもらいたいと思うくらいだ。

用途も使い方も、従来のものと全く同じなのに、素材が変わるだけで、驚くほど扱いやすい製品になるという好例だろう。普通に使えているからと、従来の製品を使い続けるのではなく、そこで感じていたストレスを軽減する工夫を重ねるのが、2019年の文房具の流れだったようにも思う。この「nameLUNA」は、その代表。とにかく一度使ってみてほしい。スポンジには戻れない気持ち良さがある。

HD-10TL/プロの使い方を考え抜いたホチキス

マックスの道具ホチキス「HD-10TL」は、従来の製品から、現場での使用に特化した機能を抽出して、徹底的にプロ仕様に仕上げたホチキスの名作。

世間に「プロ用」という製品は多いけれど、本気のプロ用は、プロでない人には使いにくいことが多い。それはプロが求める機能や性能が、一般とは違っているからで、自分ごとながら、私がプロデュースした「Note Me」(スーパークラシック)という取材用ノートケースは、見事なまでにプロのライターか編集者にしか売れない。

この「HD-10TL」も、フラットクリンチ機構を捨てて、とじるものを差し込みやすいようにしたり、ストロークは短いのに軽くとじられる新機構を投入したり、見た目のかわいさや派手さより持ちやすさや耐久性を重視したデザインにするなど、大量にホチキスとじをする際の使い勝手や、様々な状況でも使えるなどの、現場での使用に徹している。

ブリスターパック(製品の形状にかたどった透明なプラスチックと平らな台紙を組み合わせた包装)の端も留められるし、逆手で持って、そのまま立てて置けるようになっているし、針も150本入る(通常のホチキスは100本が多い)。質実剛健はもちろん、実際に大量にホチキスで何かをとめる現場が求めているものをきちんと形にしているのだ。誠実なデザイン、誠実な製品作りとはこういうことではないか。しかも、この価格。ビックリである(記事「軽とじ・フラット仕様 いつのまに進化、最新ホチキス」参照)。

競馬新聞の紙で作ったパスポートメモ/書きやすい紙を使用

メモ帳では、今年の1月に発売されたミドリの「パッとメモ」も印象深いが、そちらは、何度もあちこちで書いたので、ここでは、それに勝るとも劣らない、ぷんぷく堂の「競馬新聞の紙で作ったパスポートメモ」を取り上げたい。

手にしやすいパスポートサイズの左とじ横開きのメモ帳で、裏表紙が硬い紙になっているので立ったままでも書きやすい。無線とじなのでページがよく開き、横開きなので、裏表にビッシリと書ける。メモ帳に求められる基本機能をしっかりと備えた上に、使われている紙が競馬新聞の紙。競馬新聞を手にしたことがある人なら分かるだろうが、鉛筆やサインペンのノリがとても良いのだ。

しかも、裏写りもしにくい。19年の流行でもあるサインペンや水性インクを使う万年筆と組み合わせると、とても見やすいし書きやすいのだ。ドット方眼、方眼、無地と3種類そろっているのもいい。60枚120ページあるのに、薄く仕上がっていて胸ポケットへの収まりが良いのも魅力。普段使いのメモ帳としての完成度がとても高い。これもまた、誠実に作られた新しい文房具と言えるだろう。

実用性の極めて高いテープ/WORKERS'TAPE

マスキングテープのブーム以降、様々な接着テープが登場しているけれど、個人的に「これだ!」と思ったのが、ハイモジモジ「WORKERS'TAPE」。接着テープに、「請求書在中」とか、「領収書在中」「納品書在中」「重要書類」と印刷されているだけなのだが、これが良くできているのだ。

まずシンプルながらキレイにデザインされているので、ビジネスに普通に使えること。デザインに凝り過ぎていないのが良いのだ。貼るだけでしっかり目立つのもうれしい。さらに、ほんのちょっとだけしゃれて見えるのだ。はんこに比べて、クッキリと見えるのもいい。コクヨ「GLOO」のような、据え置きでも手持ちでも使えるテープディスペンサーと組み合わせると、より使いやすいだろう。

この製品の、マスキングテープが従来の使い方から離れて装飾用テープとして流行したのを逆手に取ったようなアイデアが、何とも好きなのだ。その上で、仕事で使える製品になっているのがいい。この製品もまた、従来の製品にアイデアを加えて、新しい用途を提案した、2019年的な製品だと思う。

◇  ◇  ◇

記事「超極細と自己修復 新世代ジェットストリーム開発秘話」で取り上げたばかりなので今回は割愛したが、三菱鉛筆の「ジェットストリーム エッジ」(1000円+税)の、油性ボールペンでボール径0.28mmという、もはや滑らかに書けるジェットストリームというイメージを捨てて、新しい価値観に足を踏み入れた点も評価したい。この流れが、もしかすると2020年の方向性なのかもしれない。

納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

(写真 スタジオキャスパー)

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