株高に遅れた自動車株 復権の日はいつ?(窪田真之)楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

写真はイメージ=123RF
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日経平均株価は先週、一気に2万4000円台まで上昇し年初来高値圏にあります。今年の株価上昇を振り返るとけん引役は景気敏感株です。「景気が悪いのになぜ?」と思う人もいますが、私は、過去何度も繰り返されたパターンが今年もやってきただけと、考えています。

景気が悪いときに景気敏感株が下がり、景気が良いときに景気敏感株が上がるならばわかりやすいですが、実際はそうなりません。株は景気循環より半年から1年先に動きます。私は来年4月ころから世界景気が回復すると予想しています。今の景気敏感株の上昇はそれを織り込む動きと考えています。

明暗分かれる2つのセクター

先ほど今年の上昇の原動力が景気敏感株だといいましたが、子細に見ると中でも好調組と不調組に分かれます。好調組の代表は半導体関連株です。今は半導体不況の最中ですが、株価は来年4月ごろから半導体ブームが復活するのを織り込む動きを示していると見ています。一方、同じ景気敏感株の中で株価不振が際だつのが自動車関連株です。

【日経平均と半導体関連、自動車関連株の値動き比較】

(注:2016年末の値を100として12日までの値動きを指数化。半導体関連は東京エレクトロン、アドバンテスト、信越化学工業、SUMCO、ルネサスエレクトロニクスの5社の合成株価。自動車関連はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、ブリヂストン、デンソーが対象。楽天証券が作成)

半導体株は来春の回復を先取り

上のグラフで、まず「半導体関連5社」合成株価の動きを見てください。17年は半導体ブームの中で、株価が急騰するわかりやすい相場でした。18年になると、引き続き空前の半導体ブームは続いていたのに、半導体株が急落していることがわかると思います。19年に半導体不況が始まることを、1年早く織り込み始めた動きです。そして今年、19年は半導体不況の中で、半導体株が急騰しています。来年のブーム復活を織り込んでいると考えています。

自動車業界が抱える「3つの不安」

次に「自動車関連5社」の合成株価はどうでしょう。半導体と比べ、さえない動きが続いています。17年は景気好調でも日経平均並みにしか上昇しませんでした。18年は大きく下がり、19年になっても株価低迷が続いています。ここに自動車業界が抱える苦悩が見てとれます。

私は自動車株のパフォーマンスの悪さの背景には次の3つの不安があると考えています。

【1】世界自動車販売の不振

18年、19年と2年連続で世界の自動車販売台数は減少する見通しです。来年、20年の回復もまだ見込める状況にはなっていません。

【世界の自動車販売台数】

(出所:国際自動車工業連合会=OICA、商用車含む、19年予想は楽天証券経済研究所)

2年連続で減少する世界販売台数の中でも米中貿易戦争の影響で、特に中国の自動車販売が落ち込みます。ただし、そうはいっても、いつかは世界の自動車販売は持ち直すでしょう。もし来年にも自動車販売が持ち直すならば、経験則では今年あたりから自動車関連株のパフォーマンスは良くなっているはずです。ところが、自動車関連株は今年も不振です。意味するところは、2年連続で不振だった世界販売が来年も厳しい可能性を織り込んでいる、ということです。

【2】貿易戦争のターゲットとなる不安

日本車にとって最も重要な市場である米国で、トランプ大統領が、保護貿易主義を前面に出しています。トランプ大統領は日本の自動車産業を批判し、「競争条件が不公正」と主張しています。これはほとんど言いがかりです。日本は自動車の輸入に関税をかけていません。一方、米国は、自動車の輸入に2.5%の関税をかけています。トラック輸入には25%の高率関税をかけています。来年1月に発効する日米貿易協定でも、自動車の輸入関税撤廃は見送られました。

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