年末年始の高速渋滞 3日が上りピーク、狙い目は5日
編集委員 小林明
帰省客や行楽客などで高速道路が混み合う年末年始が近づいてきた。今回は年末年始の休みが土日にうまくつながることから、長期休暇が比較的取りやすいのが特徴。そのため移動の選択肢が増え、渋滞をうまく避ける工夫の余地が大きいとみられる。高速渋滞を回避するための傾向と対策をまとめてみた。
9連休と恵まれた日並び、仕事納め27日、仕事始め6日
通常、官公庁の仕事納めは12月28日、仕事始めは1月4日とされるが、今回の年末年始ではともに土曜日にあたるので仕事納めは12月27日(金)、仕事始めは1月6日(月)となる。カレンダー通りに休むと、9連休という長期休暇になる見通し。これに準ずる民間企業はかなり多いとみられる。
一方、銀行などの金融機関や郵便局の仕事始めも通常は1月4日だが、今回は土曜日にあたるので仕事始めは1月6日となり、より長い休暇が取れる日並びになった(仕事納めは12月30日)。
移動日が拡大、10キロ以上渋滞は下り線で増加傾向
高速道路各社(東日本、中日本、西日本、本州四国連絡高速道路など)がまとめた渋滞予測回数(10キロ以上)を見ると、全体の傾向が浮かび上がる。下り線の渋滞は82回、上り線の渋滞は118回と予測。移動日が増えたことから、渋滞発生日が広がり、前回の渋滞予測回数(下り線62回、上り線118回)と比べると特に下り線で増加する見通し。全体として年明けの上り線の1月2~4日に渋滞が多く発生するとみられ、同期間に移動を予定している人は注意が必要だ。
仕事始めの1月6日(月)に備えて5日(日)を休養にあてる人が多いとみられるが「あえて5日に移動するのも高速渋滞を回避する選択肢としては有効」と各高速道路会社では呼び掛けている。また多くの渋滞発生が予想される2~4日に移動する場合でも、移動の時間帯やルートを工夫すれば渋滞を回避できる余地はかなりありそうだ(記事の最後に4カ所の渋滞回避術を紹介)。
掲載したのは全国で発生する見通しの20キロ以上(ピーク時)の高速渋滞をすべて網羅した一覧表である。やはり年明けの1月2~4日に渋滞が多く発生する様子が読み取れる。
下り線では「大津IC」4回、「秦野中井IC」3回
下り線で特に注意したいのが名神高速の「大津IC」と東名高速の「秦野中井IC」。「大津IC」で20キロ以上の渋滞が4回(12月28日、1月2日、2日、3日)、「秦野中井IC」で3回(12月28日、29日、30日)発生する見通し。
一方、上り線で特に注意したいのが東名高速の「大和TN」。20キロ以上の渋滞が6回(12月29日、30日、1月1日、2日、3日、4日)発生する見通し。このほか関越自動車道の「高坂SA」、名神高速の「一宮IC」「草津JCT」、東名高速の「都夫良野TN」でもそれぞれ3回発生すると予想している。
上り線では「大和TN」6回、「高坂SA」「一宮IC」など3回
下り線では12月28、29、30日に発生する「秦野中井IC」の30キロ渋滞が最長、上り線では1月3日に発生する「大和TN」と「高坂SA」と東北自動車道の「加須IC」、1月4日に発生する「大和TN」の35キロ渋滞が最長となると予想している。3月に新名神高速の三重県区間が全線開通した効果で、東名阪自動車道の「四日市IC」や「鈴鹿IC」の渋滞が大幅に解消される見通し。
移動時間と渋滞ピークをずらす工夫、運転法にも注意
最後に下り線の「秦野中井IC」(12月28日、30キロ)、上り線の「加須IC」(1月3日、35キロ)、「高坂SA」(同、同)、「大和TN」(同、同)の計4カ所の具体的な渋滞回避法について紹介しておこう。
◆下り線
・東名高速の「秦野中井IC」(12月28日、30キロ)――通常だと25分で通過できるところ、8~15時のピーク時には約1時間15分かかると予測。もし「横浜町田IC」を6時以前または17時以降に通過すれば所要時間は25分程度で済むとみられる。「秦野中井IC」付近は下り坂から上り坂に変わるサグ部や長い上り坂が続くので、渋滞を招く原因になる無意識の速度低下を起こさないように注意して運転したい。
◆上り線
・東北自動車道の「加須IC」(1月3日、35キロ)――通常だと25分で通過できるところ、18~19時のピーク時には約1時間10分かかると予測。もし「栃木IC」を15時以前または22時以降に通過すれば所要時間は25分程度で済むとみられる。「加須IC」付近は緩やかな勾配変化が続くのでできるだけ一定速度で運転するように心がけたい。
・関越自動車道の「高坂SA」(1月3日、35キロ)――通常だと25分で通過できるところ、17~18時のピーク時には約1時間10分かかると予測。もし「本庄児玉IC」を13時以前または23時以降に通過すれば所要時間は25分程度で済むとみられる(14時または22時に通過すれば所要時間は約30分、16時または19時に通過すれば所要時間は1時間程度)。「高坂SA」付近はサグ部や合流部で渋滞を招きやすいので、速度低下を起こさないように注意して運転したい。また本線への合流後も左車線走行をキープして運転するようにと高速道路会社では呼び掛けている。
・東名高速の「大和TN」(1月3日、35キロ)――通常だと25分で通過できるところ、13~20時のピーク時には約1時間25分かかると予測。もし「御殿場IC」を8時以前または翌1時以降に通過すれば所要時間は25分程度で済むとみられる(10時または23時に通過すれば所要時間は1時間弱)。「大和TN」付近はサグ部があるので、渋滞を招く速度低下を起こさないように運転したい。
当日の交通状況は天候や災害、事故、イベントなどにより刻一刻と変化する。各高速道路会社のホームページやニュース、災害情報などに常に注意しながら運転することが大切だ。
(編集委員 小林明)
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