Men's Fashion

「盆栽を若者にも」革新的作風とパフォーマンスで魅了

SUITS OF THE YEAR

盆栽師 平尾成志さん

2019.12.19

日本経済新聞社デジタル事業 メディアビジネスユニット「NIKKEI STYLE Men’s Fashion」と世界文化社「MEN’S EX」が共催する、「ビジネスや自分のフィールドで情熱を持ってチャレンジし、時代を変えていく才能や志を持つ人」を表彰するアワード「SUITS OF THE YEAR 2019(スーツ・オブ・ザ・イヤー)」。2回目となる授賞式を11月7日(木)PALACE HOTEL TOKYO(東京都千代田区)にて開催しました。それぞれの分野で活躍する受賞者6人の横顔を紹介していきます。




買うには一鉢の値段が高い。自分で楽しむには技術的に難しく、もっぱらお年寄りの趣味。そんな旧来型の盆栽のイメージを覆そうと革新的な作風やパフォーマンスを世に問い、新時代の旗手として注目を集めるのがアート&カルチャー部門の受賞者、盆栽師の平尾成志さんだ。海外でもファンが多いBONSAIの「かっこよさ」を若い世代に継承していくには「自分もかっこよくならないと」と話す。

軽快な音楽にノって盆栽を作るパフォーマンス

授賞式の合間のひととき、軽快な音楽にノってハサミをいれていく平尾さんのパフォーマンスに、来場者の目がクギ付けになった。細身のスーツが、アスリートのような動きにぴたり寄り添う。「このスーツのネイビーはとてもいい色ですね。不思議なもので、スーツは身が締まるというか、ちゃんとしないと、という緊張感が生まれて、歩き方も変わる。きちんと仕立てられた王道のスーツはやはりいいなあ」

「これまで着たスーツは黒や華やかな色が中心でした。このネイビーはいい色ですね」

日本を代表する盆栽師、加藤三郎氏を師匠と仰ぎ「がっつり弟子入りした」正統派。いかにも今どきの若者らしい風貌と、「静」の芸術にパフォーマンスの「動」を取り込んだユニークな活動から異端児扱いされがちだが、長くこの世界の王道を歩み、伝統的な盆栽をこよなく愛する。「アーティストの中には盆栽を宙づりにしたりする人もいます。でも、根をさらして盆栽の色が変わってしまうなんてもってのほか」