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認知バイアスは日々の買い物のような行為にも忍び込んでいる。写真はイメージ=PIXTA

認知バイアスは日々の買い物のような行為にも忍び込んでいる。写真はイメージ=PIXTA

転職をはじめとするキャリア選択に多大な影響を及ぼすのが、社会心理学でいう「認知バイアス」です。これが働くと、時に効率的な半面、不合理な選択をしてしまうことが起こり得ます。自分を客観的に見ることによって、リスクを下げることができるので、転職を考えるにあたっては、ぜひ心にとめてほしいと思います。

1)最初に経験したものが基準になる「アンカリング効果」

最初に印象に残ったモノ・コトや数字が、その後の判断に影響を及ぼすアンカリング効果というバイアスです。バーゲンセールなどで、1万円の値札に赤線が引かれて5000円と書かれていると、お買い得に感じられるというのが代表的な現象です。

最初に入社した会社の環境や経験が基準になってしまい、それとは遠い環境に拒否反応が出るということもありえます。自分の判断基準がどのように作られているのかを知り、冷静に費用対効果を見つめて判断する必要があります。

2)象徴的事例が基準化してしまう「代表性バイアス」

「値段の高いほうがいいモノのはずだ」というように、代表的事例から直観的判断をすることで無意識のうちに脳の負担を減らす現象をさします。「ベンチャー企業だからハードワークなはずだ」「オーナー社長はワンマンだ」というように、少ないサンプルをもとに決めつけが発生すると、最初の段階で本来は価値のある候補を捨ててしまうことにもつながりかねません。

認知バイアスが有益な選択肢を摘み取ってしまう

3)ランキングや評判など、相対的基準に判断をゆだねすぎる

絶対的な基準で考えるより、相対判断のほうが負担が少ないために、人間は相対的基準に判断をゆだねる傾向があるそうです。これが行き過ぎると「価格比較サイトで調べてみないと、その価格が高いのか安いのか判断できない」ということになりかねません。「同じ量のものでも、大きな皿に入っているより、小さな皿に入っているほうがたくさんあるように見えてしまう」というケースもあります。

キャリアに関することでいうと、「自分が1万円昇給しても、同僚が3万円昇給していると、自分は評価されていないように感じる」というようなケースがそれに相当します。1万円増えているにもかかわらず、同僚より2万円低くなったことに強い不満を感じ、転職を考える理由になるというケースは多々あります。役職定年でこれまでの部下が上司になるといったケースや、雇用延長の際に給与が半減する場合など、それによる不満で自主退職など不合理な結論を選択してしまうこともありうるので要注意です。

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