街でも暖房の部屋でも快適に 冬の機能性インナー5選
都市部での防寒対策は難しい。日によって寒暖差があるのもそうだが、オフィスや自宅、交通機関、屋外とさまざまな環境ですべて快適に過ごすのはなかなかの難問だ。アウトドア向けのインナーには、登山など運動中は汗を吸収発散し、休憩中は体温維持と、体感温度を一定に保つ機能を内包するものがある。アウトドアメーカーの製品を中心に、街でも使える機能性インナーを紹介する。
肌をドライに保つ「寒くはない」インナーウエア
ドライレイヤーウォームロングスリーブ(税込み5940円)
https://www.finetrack.com/shopping/products/detail-FUM0521/
ドライレイヤーウォームタイツ(税込み5500円)
https://www.finetrack.com/shopping/products/detail-FUM0523/
登山用など高機能ウエアを発売しているファイントラックは、レイヤリング(重ね着)の考え方を浸透させたと言っても過言ではないほど、アウトドア業界での貢献度は高い。
そんなファイントラックがベースレイヤー(一番下、肌に接する)として冬季向けにラインアップしたのが「ドライレイヤーウォーム」だ。冬季向けの機能としては、オールシーズン向けの「スキンメッシュ」に比して約1.5倍の保温性能を持ちつつ、制電糸を採用し静電気を抑制する。また、かいた汗を外側のレイヤーに逃がし肌をドライな状態に保ち、抗菌防臭加工によって臭いを抑制する。
普段のアウトドアウエア、スーツなどの街着の下に着込んだ感じは「寒くない」だ。冬用タイツや保温インナーを着用すると暖かい場所では暑くて汗をかいてしまい、寒い場所に移った際に汗が冷えて寒くなってしまうことがあるが、これは汗をかくほどには暖かくならない。ほんのり暖かい着心地を実現しているので寒暖差のある都市部での着用にも適している。
安静時でも暖かく発熱するインナー
ブレスサーモアンダーVネック長袖シャツ(税別2000円)
https://www.mizunoshop.net/f/dsg-658461
ブレスサーモアンダーロングタイツ(税別2000円)
https://www.mizunoshop.net/f/dsg-658506
冬場のインナー選びの難しさは、運動時、安静時どちらを基準に選ぶか、という点にもある。そして、展示会やイベントなどで屋外で誘導するスタッフなど寒い場所で激しく動く必要がない人にとっては、暖かなインナーこそ必要なものだ。
ミズノの「ブレスサーモ」シリーズのインナーウエアは、人体から自然に発散する水蒸気(水分)を吸収することで発熱する繊維「ブレスサーモ」の配合量によって暖かさが異なる。最も薄いタイプは、冬季の普段使いにも適したタイプと言える。
着ているだけで暖かさを感じるので、寒がりな人にとってはありがたい存在だろう。起床時(活動時間帯)だけでなく、就寝時に着ても良い。ブレスサーモにはブランケットや掛け布団などの寝具もあるくらいなので、体温が下がる就寝時の保温アイテムとして適している。
スーツスタイルにも違和感のないVネック、8分袖
MXP
リュクセルウォーム Vネック8分袖シャツ(税込み6380円)
https://www.goldwin.co.jp/store/ec/pro/disp/1/MX15342/K/
リュクセルウォーム レギンス(税込み6380円)
https://www.goldwin.co.jp/store/ec/pro/disp/1/MX25343
冬場は利きすぎた空調によって汗をかく頻度も高まり、厚着によりそうした汗などもこもるため、実は夏場より臭いがキツくなるとも言われている。ゴールドウインのブランドMXPの「リュクセルウォーム」は、遠赤外線効果で保温する「光電子」と吸湿発熱繊維を組み合わせ、消臭効果のある「マキシフレッシュ」機能を加えたマイクロファイバーで、薄手ながら暖かさと心地よい肌触りを実現している。
Vネックはノーネクタイでもインナーシャツが見えず、8分袖はワイシャツの下に着ても袖口から見えないため、スタイリッシュさを損なわない。さらに消臭機能によって室内で上着を脱いでも嫌な臭いが漂わないというメリットがある。
ウール素材で暖かさと薄さをバランス良く実現
スーパーメリノウールシリーズ
スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ(税別4600円)
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1107263
スーパーメリノウール L.W. タイツ(税別4600円)
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1107267
昔から保温インナーにはウール素材が適しているとされていたが、コスト面や手入れの難しさから日常使いでは避けられてきた。モンベルは、ウールを使用しないジオラインシリーズで、断熱性や吸湿速乾(ミドルレイヤーへ水分を移す)、抗菌消臭などを繊維のレベルで実現し、アウトドア用インナーとして人気を博すようになった。
一方でより暖かさを求めるユーザー向けに、ウール素材をアウトドア向けに使用する開発も進められた。スーパーメリノウールを使用した「スーパーメリノウール L.W.」のシャツやタイツは、ウール素材の特徴を生かして暖かさと薄さをバランスよく実現したインナーだ。速乾性などはジオラインに劣るものの、消臭効果や暖かさはジオラインをしのぎ、登山などのアウトドアアクティビティーに限らず、日常のインナーとしての常用にも向く。通勤など街着としての使用ならば、スーパーメリノウールの方が暖かさを感じやすいだろう。
一般的にウール素材の洗濯は難しいとされているが、スーパーメリノウールは、ウォッシャブル加工が施されており中性洗剤を使い洗濯機で洗濯することができる。
アウトドアでは通年で使えるベースレイヤー
メンズ メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ(税込み9570円)
https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gSW62002005003/
メンズ メリノ150ベースレイヤーボトム(税込み9020円)
https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gSW62040001004/
発熱素材や保温性を確保した織り方など、化繊をベースにした機能性インナーが増えてきているが、保温性だけで言えばウール100%のほうが性能は高い。一方で、吸汗発散(速乾)能力は化繊配合の割合が高い方が良い。
スマートウールの「メリノ150ベースレイヤー」は、ウール87%、ナイロン13%という配合で、保温性と吸汗発散性能のバランスがとれた高性能のインナー。メリノウール専門メーカーとして長年アウトドアユーザーに愛されてきたメーカーで、1平方メートルあたり150グラムという生地の厚さはオールシーズン使えるバランスの良いモデルだ。
冬のインナーとしては、自宅から交通機関、勤務先と徒歩などの運動やエアコンなどの暖房による体温の変化、発汗に対応し快適さを保ってくれる。コスト面ではやや高いのが難点だが、フィット感や耐久性などを考慮した場合、損はしない性能を発揮してくれるだろう。
(ライター 戸津弘貴)
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