認知症が不安、お金は… 早めに後見人と使い道契約判断能力あるうちに自ら選ぶ

写真はイメージ=PIXTA
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認知症になったら、誰が支えてくれるか不安です。お金の管理もできなくなると聞きました。元気なうちにできる対策はありますか。

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患者、25年に約700万人

国の推計によると2012年に462万人だった認知症患者は25年に約700万人に増えます。年齢別にみると80代前半で男性の6人に1人、女性の4人に1人が、90代前半では男性の2人に1人、女性は3人に2人が認知症になるとのデータもあります。

認知症になるとお金を口座から引き出すにしても簡単ではなく、株式の運用や不動産の処分などが難しくなります。国内では個人金融資産全体の3分の2を60歳以上が保有しており、認知症患者が持つ資産は17年度に約143兆円、30年度には200兆円を超えるとの試算があります。

個人でできる対策では成年後見制度の活用があります。代理人(後見人)を付けることで自分の財産や権利を法的に守ってもらう仕組みです。同制度には「法定後見」と「任意後見」という二つの形式があります。前者の法定後見はすでに認知症などになって財産管理や契約行為ができない場合、裁判所が後見人を決めて保護するものです。

任意後見、早めの対策で有効

早めの対策で有効なのは任意後見のほうです。判断能力のあるうちに自ら後見人を選び、財産管理や生活、看護・介護について契約しておきます。もしも判断能力が低下したらその効力が生じ、後見人が手続きをしてくれます。「任意後見は将来の認知症に備えるための保険」と司法書士の勝猛一さんは説明します。

いざというとき何を後見人にしてもらいたいのか、具体的な中身は公正証書の形にまとめます。「長女に毎月5万円の生活費を渡す」「ひとりで生活できなくなったら自宅を売って施設に入る」といった内容です。お金の運用についても希望を反映できます。

法定後見に比べ、自由度高く

「ライフプランに基づいた事項を盛り込める」のが特徴で、裁判所がお金の使い道を厳しくみる法定後見に比べると自由度が高い制度といえます。実際に認知症になった際には、裁判所が申し立てを受けて監督人(任意後見監督人)を選任します。後見人が適切に財産管理をしているか、不正に手続きしていないかをチェックし、定期的に裁判所に報告します。

後見人には自分の親族を選ぶこともできますし、司法書士や弁護士ら専門家に頼むケースもあります。専門家に頼んだ場合の費用は契約により異なりますが、勝さんによると司法書士の場合は契約時に20万円、後見開始時に15万円、発効後の月々の報酬は3万円程度が目安になります。

成年後見制度の利用者は全体で約22万人いますが、大半は法定後見です。任意後見の契約件数は年間1万ほどと少ないのが現状です。国は16年に定めた成年後見制度利用促進法の中で任意後見の積極的な活用もうたっています。

[日本経済新聞朝刊2019年12月14日付]

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