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ラグビー日本代表 快挙支えたトレーニングの裏側

ラグビー日本代表S&Cコーチに聞く(上)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

初の自国開催となったラグビーワールドカップ2019(W杯)が44日間の熱戦の末、幕を下ろした。各地で世界最高峰レベルの熱い戦いが繰り広げられ、日本代表は優勝候補のアイルランドを破り、1次リーグを全勝で突破。目標とする初の8強入りという大快挙を遂げ、日本国民を大いに沸かせた。それを支えた人の一人が、体力強化やリカバリー(回復)管理を務めたストレングス&コンディショニング(以下、S&C)コーチの太田千尋さんだ。太田さんへのインタビューの第1回では、日本が世界のベスト8に入るためにどのような体づくりをしてきたのかを聞いた。

S&Cコーチの役割とは

――2013年にはラグビー日本代表のアシスタントS&Cコーチとして体力強化を担当され、今年のラグビーワールドカップでは日本代表S&Cコーチとして、初の決勝トーナメント進出への立役者の一人となられました。まずは、S&Cコーチの役割について教えてください。

太田:主には、選手の「パフォーマンス向上」と「けがの予防」という2つの役割を担っています。ハードなトレーニングをすると体は当然疲れます。疲労を蓄積したままにすると、けがにつながったり、次のトレーニングに全力で取り組めなかったりする。我々は選手が試合本番はもちろん、日々のトレーニングでも最高のパフォーマンスが発揮できるように、トレーニングの指導と、睡眠や食事といったリカバリー(回復させるための)指導を行います。

2017年からはS&Cコーチとしてサイモン・ジョーンズ氏が主にトレーニングを担当し、私はコンディショニングを担当しました。ヘッドコーチが達成したいラグビーのパフォーマンスを発揮できる体づくりとコンディションづくりを目指す方法を考えるのが、ミッションです。

――ヘッドコーチが達成したい目標とは?

太田:例えば、2013年のヘッドコーチだったエディー・ジョーンズは、世界一のハードワークができるチームを作るという目標を掲げました。とはいえ、当時の日本は世界トップレベルのチームに勝ったことがなかったので、まずは個々を強くしなければいけない。

当時のS&Cコーチスタッフのジョン・プライヤー氏、村上貴弘さん、新田博昭さんらと 筋肉をつけ体重を増やすというところからスタート。一対一でコンタクトしても負けない体の強さ、そして素早く動ける機動力やスピード、そのスピードを繰り返すことができる持久力を鍛えることで、一つずつ積み上げてきました。簡単にいうと、大きくて力があって、機敏に動けるスーパーアスリートを育てることを課せられたイメージです。

――筋肉をつけ体重を増やすにあたっての具体的な目標数値はあったのですか?

太田:2013年の時は、日本チームのフォワード(FW)の平均体重が、対戦相手の南アフリカより11kg軽かった。その差をゼロにするのは難しいですが、できる限り筋肉を増量して、強い体を作るのが最初の目標でした。

実際に2015年に南アフリカと戦う時には、7kg差までになりました。単に体重を増やしたのでなく、アスリートとして一段レベルが上がったといえる力とスピードがついた状態になりました。

――どうやって体を大きくしたのですか?

太田:筋肉を鍛えて体を大きくするために、ウエートトレーニングは1日2回実施し、食事は補食を含めて1日7~8回とります。食事をたくさんとるといっても、炭水化物をメインに摂取するのではなく、たんぱく質を意識して摂取するイメージです。そして睡眠もしっかりとる。夜の睡眠だけでなく、パワーナップという昼寝も計画的にとってもらいます。

ラグビーの特徴は、ウエートトレーニングに加え、激しい実践的なトレーニングも行うかなりのハードワークということ。体に大変なダメージが残るので、食事や睡眠といったリカバリーもハードかつ緻密に取り組んでいかないと、強くて速い動きができる理想的な体になりません。また、激しいトレーニングはけがのリスクも高いので、けがの発生率を抑える目的もあります。

スクワットの目標重量は体重の2倍以上

――まずトレーニング面から伺いたいのですが、1日2回というウエートトレーニングの具体的なやり方を教えてください。

太田:相手の強いコンタクトにも動じない土台を作るには、下半身の強化が必須です。下半身の強化と聞くと、とにかく重い重量を担ぐ、あるいは持ち上げるスクワットやデッドリフトを想像される方が多いと思います。でも、単に重いものを上げることを追求するだけではなく、我々は体幹の姿勢をものすごく意識しています。

例えば、高重量でスクワットすると、負荷が高いですから猫背になりがちですが、「猫背=体幹の姿勢が保たれていない」状態なので、タックルされて強い衝撃を受けたときに、体幹の姿勢がしっかり保たれず、ぐにゃっと潰れてしまいます。また、ステップを踏む時に体幹が崩れると、下肢に力が入らないので地面からの反発力を生まず、素早く動けません。なので、強いコンタクトをするにも、素早い動きをするにも、下肢のパワーが必要不可欠で、それには強い体幹が必須なのです。

特に2017年からは、2019年の自国開催のワールドカップで世界トップ8に勝つために、体幹をしっかり固定して下肢に強いパワーを伝えられるためのトレーニングを積み重ねてきました。お尻と膝を結ぶラインが地面と平行になるまで腰を落とすパラレルスクワットで、体幹の姿勢を保ったまま1回だけ上げられる重量の限界にチャレンジします。

――どれほどの重量が目標になるのですか?

太田:スクワットの目標重量は体重の2倍以上が目安です。FW(フォワード)の選手なら体重は110~120キロあるので、約240キロくらいが目標です。自分の体重を合わせると、体重の3倍の重量を上げている筋力になります。

例えば、立ち上がるだけなら自重を支えられる筋力で十分ですが、そこにタックルされ衝撃を受けるとその筋力では体幹が崩れ、地面からの反発力をもらえず、強くて速い動きができないわけです。衝撃を受けても力強く素早い動きができるように、最低、自分の体重の2倍以上の重量をコントロールできる筋力と体幹の強さが必要と考えます。

高重量を上げられる体をしっかり作り、自分のキャパシティーを広げたうえで、重りを減らして速く上げられるトレーニングにシフトしていきます。人やポジションによって異なりますが、自分が上げられるマックス重量の30~60%程度に減らし、単にスピードを上げるのではなく、腰を落とした状態から「ガン」と素早く力を出すように意識しながら、4回上げます。速筋が鍛えられ、強い体幹を保ったまま瞬時に動ける下肢のパワーに変えることができ、フットワークやコンタクト、タックルに入るスピードが高まっていきます。より実践で使える筋力に変えていくイメージです。

今回のワールドカップでは、2019年に入ってから特にこうした種目を意識して取り入れました。体幹の強さを手に入れ、スクラムでもどの対戦相手にも負けていなかったと思います。

あと、体幹を鍛えるという意味では、バーベルなどの器具を使ったウエートトレーニングだけでなく、水と空気を入れた円柱状のアクアバッグを使用したトレーニングも行います。アクアバッグを担いだまま片足を大きく前に出して腰を落とすフロントランジや、スピードをつけて肩の上まで持ち上げ、ぴたっとストップさせるトレーニングなどですが、水が揺れて不安定な状態を支えるために、体幹が鍛えられます。

――実践練習も含め、これだけ体に負荷をかけるトレーニングを続けながら、けがの発生率も抑えたのがすごいです。

太田:食事や睡眠などリカバリーだけでなく、もちろんトレーニングのボリュームも個々のコンディションを見ながら、またメディカルスタッフとの連携により調整します。

例えば、加速走(早くトップスピードに到達させるための練習)やランニングといったフィールドトレーニングの強度が上がると肉離れなどにつながるので、グラウンドの横にバイクやローイングマシーンを用意し、ある一定時間はランニングの代わりにやったりします。負荷を減らしながら持久力を鍛えることができるので、けがの発生率を抑えられるわけです。

そうした個々の選手のコンディションや負荷をチェックし、管理するため欠かせないのが、走ったスピード、距離、疲労度などのデータを分析できるGPSなどのデジタル機器です。(「(中)ラグビー代表 コーチが明かす『疲れない体』の作り方」「(下)1日7~8回 ラグビー代表、練習の疲労をとる食事法)」に続く)

(ライター 高島三幸、カメラマン 厚地健太郎)

太田千尋さん
ラグビー日本代表S&Cコーチ。少年時代は野球をし、大学3年生でインターンとしてラグビートップリーグのクボタスピアーズへ。体を直接ぶつけるコンタクトの激しさに魅了され、故障がつきものの競技にトレーナーの力を生かしたいとラグビーの道へ。地域のチームでのプレー、コーチングの資格取得など勉強を続け、国際武道大学大学院生のときにクボタと契約。現在は慶応義塾大学のラグビー部S&Cディレクターを務め、2013年から日本代表の強化に携わる。

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