腰掛けのはずが大震災で転進 女性初の社長までの道程SOMPOコミュニケーションズ 陶山さなえ社長(上)

SOMPOコミュニケーションズの陶山さなえ社長の経歴には「女性初」がならぶ
SOMPOコミュニケーションズの陶山さなえ社長の経歴には「女性初」がならぶ

SOMPOホールディングスのコールセンター業務を担うSOMPOコミュニケーションズ(東京・豊島)の陶山さなえ社長は、同グループで「女性初」の冠がいくつも付く女性活躍のパイオニアだ。一般職から総合職に転換し、執行役員、グループ会社の社長とステップを上ってきた。しかし、当初は「腰掛け」のつもりで就職したという。節目節目で「もうちょっとやってみたら?」と勧めてくれる人たちがいたことが、既定路線を大きく超えるキャリアにつながった。

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2019年9月に千葉県を中心に大きな被害を残した台風15号は、損害保険会社にも影響が大きかった。被害が想像以上に大きかったことが徐々に明らかになるにつれ、SOMPOコミュニケーションズのコールセンターには次々と保険金に関する問い合わせの電話が舞い込んだ。

突然の災害や事故で途方に暮れた契約者のファーストコンタクトを受けるのがコールセンター。「電話応対をどれだけ丁寧にできるかが大事。社内でコンテストをするなどして、常に社員の意識を向上させています」。にこやかにこう話す陶山さんは取材当日、白いジャケットに紺色のスカート姿だったが、実はグループ会社の執行役員になるまで、スカートはほとんどはいたことがなかった。

陶山さんといえば、ワイシャツにマニッシュなパンツスーツ。SOMPOグループ内の女性たちの間では、そんな印象が強かったらしい。しかし、部長になったころ、陶山さん自身が「男性と同化しようとするスタイルは、もしかして間違っていたかもしれない」と気づいたという。男性と同化しなくてもいいと気づくまでのストーリーは、女性が働くことが珍しかった時代から、ダイバーシティー(多様性)が求められる時代への移り変わりそのものだ。

就職は結婚までの腰掛けのつもりだった。陶山さんは今も包み隠さず、そう説明する。1979年、白百合女子大学を卒業して、損害保険ジャパン日本興亜の前身である安田火災海上保険に一般職で入社した。当時、日本では女性の多くは高卒か短大卒で、大卒女性を採用する会社も限られていた。かろうじて採用があった商社でも、採用面接では英語力と趣味ばかり聞かれるような時代だった。

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