家で過ごすのがストレス… 定年後の悲劇はこう防ぐ経済コラムニスト 大江英樹

写真はイメージ=123RF
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先日、現役時代に勤めていた会社の後輩たちと飲む機会がありました。いずれもかつての部下で60代後半の私より6~7歳ほど年下なので、まさに定年直前かあるいは定年になったばかりの頃です。話題は自然に定年前後のことになり、その中でこんな話が出てきました。

彼らの多くは最近流行のスマートウオッチを着けています。ご存じの方も多いでしょうが、これはなかなかよくできたもので、心拍数や歩行数、そして血圧といった運動・健康にかかわるデータを表示する機能があります。そのなかに「ストレスの度合いを計測する」というものがあります。彼らの一人が「ストレス計測をしてみると会社に居るときが一番ストレスは少なくて、日曜日に家に居るときが最も高いという結果が出て驚きました」と話すと、他のメンバーの多くが同意しました。

仕事に熟達、減る会社でのストレス

普通は逆のような気もしますが、どうしてそんなことになるのでしょう。おそらくこれは定年前後の人にみられる特徴のような気がします。定年前になると多くの人は所属部署で長く働いてきたのでかなりのベテランとなり、仕事に慣れています。彼らの一人も「いやあ、今の仕事は目をつぶっていてもできますよ」と豪語していました。

定年間際の会社員の多くは長年にわたって外では仕事に集中し、家では心と体を休めるという生活を送ってきました。ところがそうした生活を何十年も続けると会社での業務は熟達の域に達し、むしろ仕事自体を楽しむ余裕が出てくることも珍しくありません。したがって会社で感じるストレスは減り、逆に長年会話がはずまなかった家族との間にぎこちない緊張感が生じがちなのです。

かつては仕事のストレスを家で癒やしていたのに、それが逆になるという現象が起きるわけです。これは寂しい話です。長年働いてようやく定年を迎え、ゆったりと楽しく過ごしたいと思っているのに家で過ごすことがストレスになるのは皮肉な話です。できることならそうならないようにしたいものです。

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