風呂に入らず周囲に悪臭 「スメハラ」モンスター部下フェリタス社会保険労務士法人代表 石川弘子(7)

「N原、言いにくいんだが、○○社から電話があって、担当を替えてほしいそうだ。理由は、その、君の身だしなみが不快だとのことだ」

A田は思い切って話した。

「以前にも注意したことがあると思うが、営業は身だしなみが大事だ。煙草も吸うなとは言わないが、臭いがつかないように、もう少し気を配らないと。お客さんや周囲に迷惑だろ」

N原は、「すみません……」とうつむいている。

「毎日ちゃんと風呂に入っているのか? ワイシャツや下着も毎日取り替えないと、特にこの季節は湿気もあるし、臭いが出やすいから」

N原いわく、仕事が終わって家に帰ると、疲れてそのまま寝てしまい、入浴や洗濯などに手が回らないことも多いのだという。とにかく、毎日清潔にしてくるようにとA田は言うと、会議室を出た。

体臭と香水、どちらが迷惑か?

数日後、A田が早朝会議を終えてオフィスに戻ると、何やら騒然としている。Y山とN原が言い争いをしている。

「N原さん、いい加減にしてください! 自分は不潔にしていてもかまわないかもしれませんが、周りにいる私たちは不潔な臭いに我慢できません!」

N原も、憮然とした表情で反撃している。

「Y山さんが神経質なんじゃないですか? それにY山さんだって時々香水の匂いがきつい時がありますよ」

Y山はキーッとなると、興奮してN原に言い返した。

「N原さんの臭いは私だけじゃなくて皆が不快に思っているんです! お客様からもクレームが来ているじゃないですか! N原さんが出社すると、遠くの方でも臭いがするくらい臭いんです!」

A田が慌てて止めに入ると、Y山は興奮気味にA田に訴えた。

「課長、N原さんの臭いはハラスメントですよ!」

「ハラスメント??」

「そうですよ!『スメル・ハラスメント』っていうんです。臭いの嫌がらせです!」

(スメル・ハラスメント? 聞いたこともないな)

とA田は思いながらも、「とにかく落ち着いて話し合おう」と2人を諫めた。Y山は興奮冷めやらぬ様子で他の営業事務の女性社員数人と固まってA田に近寄ると、

「私たち、N原さんを何とかしてくれないなら、全員会社を辞めたいと思います」

と宣言した。他の営業事務の女性社員も全員うなずいて、Y山を強く見据えている。

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