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副業OKなら 本業で収入を確保、好きなことに挑戦

仕事と遊びの境界線をなくす「公私混同力」のススメ(4)

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NIKKEI STYLE

「キャリア迷路」から抜け出すためのコミュニティーを主宰する池田千恵氏によると「好きを仕事にする」ことは会社員のままでも実現できるそうです。むしろ安定した収入を維持しつつ身銭を切ってチャレンジできるのは会社員の特権でもあるとのこと。今回は実際に会社公認で趣味のネットショップを運営し、その知見を本業の会社に反映して仕事でも成果を出している松永剛さんのインタビューをお届けします。

本業に相乗効果が生まれる副業の始め方

前回は、副業NGの会社にお勤めの方が「プロボノ」(仕事で培ったスキルを無償で提供する働き方)で興味があるプロジェクトに参加することで本業にもシナジー効果が生まれた例を紹介しました。プロボノも勉強になりますが、せっかく自分の貴重な時間を費やすのなら、報酬もあったほうがうれしいな、という人も多いことでしょう。そこで今回は、副業歓迎の会社に属し、趣味を生かした事業を持つことにより副収入に加えて本業とのシナジー効果を発揮している松永さんにインタビューしました。

――普段はどんな仕事をしているのですか?

企業のデジタルマーケティングを支援する会社でコミュニケーション・プランナーをしています。クライアントである企業のウェブサイトやECサイト、SNSを活用して、企業とお客様のコミュニケーションを手伝う仕事です。戦略から管理運用までを一貫して行います。6年前に今の職場に転職しました。

――会社員をしながらネットショップを運営するようになったきっかけは何ですか?

直接のきっかけは東日本大震災でした。当時新卒で入った前職でグラフィックデザイナーをしていました。妻も別の会社でコピーライターをしていました(現在は転職しECサイトの企画・商品開発職)。夫婦で広告の力を信じていて、広告で世の中を良くしたいと考え、自分たちなりに意義をもって働いていました。

そんな中、東日本大震災が起き、自分たちが作った広告が自粛で世に出ないという事態が起きました。自分たちがやっている仕事の意義を立ち止まって考えてみたところ、「広告で商品の良さを伝えるのもいいけれど、その先にある、もっとお客さんに近い仕事にもたずさわってみたい」「お客さんに直接手渡しできるもので、人の生活を良くすることはできないか」と思うようになりました。

思いたったのが「器」のネットショップでした。結婚を機に器を買いそろえるようになり、夫婦の趣味になりました。以前は毎晩飲み歩いていたのに、器を買いそろえるようになってから「この器で食事をしたい」「家でくつろいで楽しみたい」という気持ちになり、家で過ごすことが増え、日々の生活がちょっと豊かになってきた気がしました。夫婦そろって旅行も好きで、旅行先でも器を開拓して作家さんに直接会ったりもしていました。

そこで2011年の夏に器のECショップ「threetone うつわと生活雑貨」(http://three-tone.com/)を開設しました。「日本の道具で家ごはんをごちそうにする」をコンセプトに、全国各地に足を運んで、窯元や作家もののテーブルウエアを探し、取り扱うセレクトショップを夫婦ではじめました。

すべて手探り 培った技術を生かす

――震災まもない夏にはすでにオープンしていたとは、行動が早いですね!

そうですね。思い立ってからは早かったです。ECサイトの知識は全くなかったんですが、たまたまウェブデザインができる友人がいたので相談したら、枠組みを作ってくれました。グラフィックデザイナーをしていたので写真やサイトデザインは自分でまとめ、コピーライティングは妻が担当しました。

器はどうしても敷居が高そう、値段も高そう、と思われがちなので、自分が欲しいと思うような同世代の作家さんの器を中心にそろえ、リーズナブルな値段で明るい色調のものを選ぶようにしています。

――周りに同じようにショップを開いている人はいたんですか? 普通思い立ってもなかなか行動できない人は多いと思いますが……

全くいなかったので全部手探りでした。本を読んで調べて、仕事でカメラを使っていたので写真撮影をして、といったように全部自分たちでやりました。広告宣伝費は一度も使ったことがなく、仕事で身につけたソーシャルメディアの運用の仕方を応用しています。最初の3年くらいは家に在庫を置き、発送業務も自分たちでやっていました。でも家は器だらけになるし、土日も遊びにいけないので何とかしないと……と思い、個人でも契約できる倉庫を探して借りました。前の日に売れた商品を報告すると倉庫から送ってくれる会社と契約しています。

直接お客さんの顔が見えるECサイトを作りたいという思いが高じて、18年には70平方メートルの自宅をリビング広めにリフォームし、開放することにしました。リビングにお客さんを呼び、商品を使って料理を楽しめる場所にする展示会を定期的に行っています。普通のマンションのリビングですが、先日開催した展示会には2日で100人くらいのお客さんがきてくれました。

チャレンジの後押しは会社の安定収入

――普通の家に100人のお客さんとは、すごいですね。会社員できちんと定期的な収入があるという安心感も、行動を後押ししてくれたのでしょうか。

そうですね。定期的な収入を維持しながらチャレンジできる環境が会社員なので、会社さえOKなら、自分のやりたいことをやってみることで損はないと思います。

それと、ちょっとでもやりたいな、興味ある、と思ったら、口にだしてみるのが大切だと思いますね。今はウェブを使えば何でも売れる時代なので、悩んでいる暇があったらやってみたほうがいいと思います。

――副業NGということで悩んでいる方も多いですが、会社にはどう報告したのですか?

前職も現職も、ありがたいことに副業がOKでした。好きにやらせてもらっていることには本当に感謝しています。上司も応援してくれていて、たまに器を買ってくれたりもしています。今の会社はホワイト企業100にも選ばれていて、残業をせずに成果を出すことが評価される社風なので、平均残業時間が月15時間以内なのもありがたいです。

「朝活」が二足のわらじのカギ

――それはうらやましいです。でも、いくら会社の残業が少ないとはいえ、本業と並行してネットショップを開くには、時間の使い方が大切ですよね。普段どんな工夫をされているんですか?

実は私も池田さんと同じく朝型なんです。やっぱり朝はいいですよね。朝は器系の事務作業をしています。具体的には次のような感じです。

5:30起床 家の周りのランニングを1時間
6:30~7:00 器関係の事務作業(在庫チェックなど、売り上げ管理、出荷作業など)
8:00 出社
20:00 仕事終了
21:00 夕食
22:00~23:00 器関連の作業(ウェブ更新や写真整理など)
23:00 就寝

朝は器関係の事務作業、夜はクリエイティブ系の作業というパターンが多いです。週末はまとまった時間で画像の加工や新しいページを作ったりしています。月に2回の週末は、自宅で撮影をしています。

――朝の時間を活用しつつ、メリハリある生活をされているのですね。器屋さんを始めたことで本業との相乗効果を感じる場面はありますか?

クライアント先に出向くことが多いのですが、お客さんとのアイスブレイクとして「器屋をやっています」と言うと興味を持ってもらえることが多いですね。実際に自分でも直接お客様とやりとりをしていることで、地に足のついたアドバイスができているのではないかと思います。

自分でネットショップを運営していることで、クライアントの予算配分や悩みなどをリアルに理解できるのもよかったことです。クライアントにコンサルティングをすることも多いのですが、コンサルティングは気をつけないと「絵に描いた餅」を語る人になってしまいがちです。その点、実際に手を動かしているというのは大きいです。

――今の仕事で結果を出すためにも、松永さんにとって器屋さんの経験が生きているのですね。とはいえ、大変なこともあると思います。どんなことに苦労や工夫をされていますか?

そうですね。正直ネットショップでの利益がものすごくあるかというと、そういうわけではありません。もともと、器は小売価格も卸値も高く、倉庫も借りているのでお金を稼ぐことを一番の目的にすると大変だったと思います。

ただ、それ以上に「人の役に立っている」「経済を自分の力で回している」という実感が日々得られることがモチベーションになります。例えば本業のほうで「100万個売った」と言われてもパッと実感がわきにくいですが、お客様に「ありがとう」と言ってもらえたり、実際に使っていただいている様子を教えてもらったりすることで、100万個の喜びが人ごとでなくなり、人肌を感じながら仕事ができます。

夫婦の時間配分も「お客様のため」で乗り切れる

――夫婦で同じ仕事をしていると、時間配分や方向性でぶつかってしまうこともあると思うのですが、いかがですか?

夫婦の役割分担は、確かにお互い忙しいので、今も試行錯誤しています。お互い「自分ばっかり忙しい」と思ってしまいがちで、始めたころはケンカもしました。でも、ケンカしていても前に進みませんよね。お客さんが「欲しい」と言ってくださることと、自分たちが忙しいことは関係ないので、できる人が、できることをするというスタンスでやっています。たまにイライラするときは「怒らない練習をすることで徳を積んでいる」と思って気持ちを切り替えます(笑)

――最後に、この働き方をどんな人におすすめしたいと思いますか?

特に企業でマーケティングをしている人は、仕事に加えて私財を使って一度自分で商売してみるのをおすすめしたいです。クライアントから予算をもらって仕事をすると実感がわきにくいことでも、自腹でやってみるときちんと調査するし、真剣にどうしたらいいか考えます。体験することでしか見えてこないこともあると思いますし、失敗しても死なないので(笑)。自分が直接動いたことで、お客様から感謝のメールを頂くと、疲れが吹っ飛ぶくらいうれしいですよ。夫婦で器の仕入れと旅を一緒にすることで、全国に家族ぐるみの友達が増えていくことも楽しいです。

◇  ◇  ◇

松永さんのお話を聞き、趣味を通じて得た自分でお金を回す経験が、本業でもしっかり生きていることを感じました。ワークライフバランスという言葉がありますが、「バランス」というよりも、ワークとライフを融合した「ワークライフシナジー」を実践されている松永さん。こうして得た経験は、たとえ今後転職したとしても、独立したとしても生きるスキルとなることでしょう。「好きを仕事に」は何も、特別な人だけができるものではないのです。このインタビューをきっかけに「好きを仕事に」にチャレンジする人が増えれば幸いです。

池田千恵
朝6時 代表取締役。朝イチ業務改善コンサルタント。慶応義塾大学卒業。外食企業、外資系企業を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築しているほか、個人に向けては朝活でキャリア迷子から抜け出すためのコミュニティー「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。10年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。

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