ネコの表情で気持ち察するウィスパラー 実在を証明

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/12/21
ナショナルジオグラフィック日本版

ネコは、顔の表情で感情を伝える。人と同じだ(PHOTOGRAPH BY MELFORD TAYLOR, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

カナダ、グエルフ大学の行動生物学者ジョージア・メイソン氏は、シルビーとルークという名の2匹の茶トラネコを飼っている。彼女はネコシッターが送ってくる2匹の写真を見て、「機嫌がいいか、不安を感じていて機嫌が悪いかがわかります。夫の意見ともだいたい一致しますよ」と話す。

そのメイソン氏が主導した最新研究で、ネコの顔の表情から気持ちを読み取れる能力をもつ人――巷間(こうかん)で「キャットウィスパラー」と呼ばれる人々が、確かにいることがわかった。

同氏の研究チームは、ネット利用者(彼らは最大のネコファンクラブとも言える)をランダムに選び、85カ国から6329人を被験者にオンライン調査をおこなった。具体的には、ネコの表情を撮った短い映像を2~20本見てもらい、ネコの機嫌が良いと思うか悪いと思うかを回答してもらった。20点満点で、結果は平均11.85点。つまり、確率的にはまぐれ当たりよりも少し良い程度だ。

ところが、被験者の約13%は、ネコの感情を読み取るのが非常にうまく、20本の映像のうち15本以上正解した人がいた。自己申告だが、若い人、女性、動物医療に従事経験がある人ほど得点は高かった。メイソン氏が一番驚いたのは、現在ネコを飼っているかどうかは、ネコの気持ちがわかる能力と関係ないことだった。

同氏の今回の論文は、学術誌「Animal Welfare」の2019年11月号に掲載された。「顔の表情はコミュニケーションの主要な形だ」と語るメイソン氏によれば、最近の研究では、ラットから犬や馬まで、多くの動物が「表情で気持ちを明確に伝えている」ことが示されているという。

2019年初頭に発表された別の論文では、ネコ同士のコミュニケーションも同じだとしている。また、この論文では、人もネコの顔の表情から、ネコの意思をくみ取っていることが示唆された。

今回の研究で、グエルフ大学キャンベル動物福祉研究センターのメイソン氏のチームが着目したのがYouTubeだ。というのも、YouTubeは、ネコの行動をとらえた映像の世界最大の宝庫だからだ。

4秒未満の動画で、ネコの顔(目、鼻、口)がはっきり映っており、明らかに「リラックスしている」もしくは「動揺している」状況という基準を設け、かなりの時間をかけて、ネコの映像を徹底的に調べ上げた。動画についたナレーションや説明が、ネコの状況を理解するのに役立った。

ちなみに、動揺しているネコの動画の多くが、動物病院で撮られたものだった。なお、ネコが恐怖を感じているサインとして有名な、耳を後ろにピンと張っていたり、牙をむき出しにしたりしている映像は選んでいない。

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