知識分野の跳躍がカギ 成功し続ける企業5つの原則
リブロ汐留シオサイト店
メインの平台上の面陳列棚に展示する(リブロ汐留シオサイト店)
ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。最近の売れ筋がランキング上位で引っ張ってはいるが、ビジネス書全般は売れ行きが鈍り気味という。そんな中、書店員が注目するのは、ビジネススクールの気鋭の研究者によるディスラプション(創造的破壊)を乗り越える経営戦略を詳細に分析した翻訳書だった。
「成功し続ける」と「消える」、分けるのは?
その本はハワード・ユー『LEAP(リープ)』(東方雅美訳、プレジデント社)。著者のユー氏は欧州トップクラスのスイスの経営大学院、IMDでビジネスエグゼクティブ向けアドバンスド・マネジメント・プログラムのディレクターを務める香港出身の教授。同校の授業を通じたビジネスリーダーとの濃密な対話や研究をベースに、ディスラプションを味方につける経営原則を探求したのが本書だ。
「なぜ、先行企業は成功し続ける場合もあれば、消えていく場合もあるのか」。著者が立てた問いはシンプルだ。そして著者が導き出した、長期にわたって成功する唯一の方法も「リープ(跳躍)」とシンプルそのものだ。「先行企業はそれまでとは異なる知識分野に跳躍して、製品の製造やサービスの提供に関して、新たな知識を活用するか、創造しなければならない」。これがリープの中身だ。
リープするためには5つの原則が見いだせる。「自社の基盤になっている知識(ナレッジ)とその賞味期限」。これを知ることが第1原則。「新たな知識(ナレッジ)分野を見つけ、開拓する」。これが原則2。原則3は「地殻変動レベルの変化を味方につける」。現時点だと、人工知能の台頭と、あらゆるものがつながるユビキタスな環境が地殻変動レベルの変化にあたる。原則4は「実験、実験、実験」。これは意思決定を確実なものにする方法だ。原則5は「実行への『ディープダイブ』」。リープへのトップのかかわり方がこの原則で明らかになる。