残業削減より「ナカミ改革」 サントリーの働き方千大輔サントリーホールディングス人事部部長(上)

1995年にサントリー(現サントリーホールディングス)入社。神戸支店にて酒類営業に従事後、2001年に人事部に異動、労務などを担当。07年9月に近畿営業本部に異動。15年4月から再び人事部。19年4月からはダイバーシティ推進室長を兼務
1995年にサントリー(現サントリーホールディングス)入社。神戸支店にて酒類営業に従事後、2001年に人事部に異動、労務などを担当。07年9月に近畿営業本部に異動。15年4月から再び人事部。19年4月からはダイバーシティ推進室長を兼務

早くから長時間労働の是正など働き方改革に取り組んできたサントリー。新浪剛史社長は働き方改革を成長戦略として位置付け、積極的に推進しているという。千大輔ヒューマンリソース本部人事部部長に取り組みを聞いた。

数値目標の残業削減には限界

白河桃子さん(以下敬称略) 働き方改革の先進企業のサントリーですが、一体何が本当に効果がある施策で、その結果会社には何が起きるのか? 今日はぜひ先進企業ならではの効果と成果をお聞きしたいです。働き方改革を進める上では、その成果をモニタリングし、よりよい形へとアップデートしていく姿勢が重要だといわれています。御社はそのアップデートが奏功してよりよい結果を出せているそうですね。そもそも働き方改革に着手したのは、いつ頃からだったのでしょうか。

千大輔さん(以下敬称略) 長時間労働を是正する取り組みは早くから進めてきまして、例えばテレワーク施策は2011年から導入していました。より本格的に進んだのは、14年に新浪(剛史氏)が社長に就任したことがきっかけです。「成長戦略として働き方改革を位置付けて、強力に進めていく」というトップステートメントが発信され、16年から「働き方改革」として始動。翌17年を「『働き方ナカミ改革』元年」と位置付けて、改革のアプローチを変えていきました。

白河桃子さん

白河 何をやるかの段階から、意味や成果を問うていこうというフェーズに入ったのですね。ナカミ改革とは、「より本質的な仕事の中身を磨いて、生産性を上げていこう」という意味だと思います。なぜアプローチを変える必要があったのか。その背景を教えていただけますか。

千 早くに導入していたテレワークは順調に利用者が増え、15年の頃には対象者の半数以上が「年1回以上利用している」というほどに浸透していました。また、同時に進めてきたフレックス制度も、コアタイムがなく個人単位で実施できるなど、「柔軟に働ける環境整備」の面では一定の成果は出せていたと思います。しかしながら、労働時間削減や有休取得日数増加に関して、数字を追うだけの活動では頭打ちとなってきていました。そこで、「より根本的な業務の見直しを行うことから仕切り直そう」と再スタートを切ったのが、16年以降に着手したナカミ改革になります。

白河 具体的にはどんなアクションから始めたのでしょうか?

千 まず、各部署で「業務の棚卸し」をしてもらうことから始めました。現場のメンバーが自分の担当業務と工数をリスト化して、課長や部長が一緒にチェックし、要不要の判断をしてムダな業務を省いたり、効率化の方法はないかを探ったりする作業です。営業、マーケティング、管理部門など、それぞれの現場で棚卸しを一斉にやったのが、1年目に行ったことでした。

業務の棚卸しで無駄な作業を洗い出し

白河 特に削減の対象としてあがった業務として、印象的だったものはありますか。

千 よく挙がっていたのは「会議」です。定例化していたり、議題に対して開催時間が長過ぎたり、参加人数が多かったり。そういった会議のムダに気づき、頻度や時間、参加人数を絞る判断をしていた部署は多かったです。

会議以外でも、「なんとなく慣例でやってきたけれど、実は必要度は高くない業務」の洗い出しはよく報告されていました。「毎月こういうデータを取って、◯◯部に渡しているけれど、果たして本当に活用されているのでしょうか」といった疑問が出ると、マネジャーが相手先の部署に確認し、「今はほとんど活用されていないらしい。じゃ、来月からやめよう」という判断をする。人事部でも、毎月社内向けに発信していた「社員数」のデータを年1回に削減したり、慣例的に続けていたメールレターの頻度を見直したりしました。

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