発信方法も見直した。文字や画像で取材結果をリポートしてきたが、生の温度を伝えきれていない歯がゆさがあった。新たにインタビューをネットのラジオで配信し始め、より身近に感じてもらえるよう工夫を凝らす。ロールモデルの女性がママ役のスナック(ソフトドリンク限定)を開き、お悩み相談に応じるイベントも計画している。
ただいまとおかえりが循環する場所
大山さんはウーマンズにかかわる人々を「サードファミリー」と呼ぶ。家族や学校の友達という関係に限らず、多くを語り合い、お互いを応援するメンバーたち。そのコミュニティーは「ただいまとおかえりが循環する場所」だ。
いつでも戻ってこられる場所があれば、安心して一歩を踏み出せる。父が闘病生活を送り、母は看病や家事などに必死だった高校時代。不安と孤独に押しつぶされそうになったことも胸にある。ウーマンズの活動を通じて、多くの人生の先輩に励まされてきた分、少しでも応援する側になりたい。「応援の循環」をつくれたら、と願う。
雨が降る11月の土曜午後、コミュニティーメディアのNEXTWEEKENDを手掛けるガルテン(東京・渋谷)のオフィスに、高校生から社会人までの女性が次々と集まった。同社代表の村上萌さん、経営コンサルティングなどの会社を経営する猪熊真理子さんを招いた、ウーマンズ主催のイベントの参加者たちだ。トークセッションの後、曲折を経て起業にたどり着いた2人を囲み、参加者全員が率直に悩みを相談した。「ちょっと年上のお姉さんに話を聞いているみたいですね」。満足そうに大山さんは見つめていた。
反対にロールモデルの女性から大山さんはどのように映っているのだろう。村上さんは「初めて会ったときはまだ高校生だったけど、前のめりで昔の私にそっくり」と笑う。「今はいろんな心のモヤモヤがあるだろうけど、それは『成長痛』。時間はかかっても絶対に納得できる選択肢が見つかるから大丈夫、と伝えたいですね」
イベントに参加した高校3年生の江坂柚香さんは「同級生には言いづらい悩みも話せた。自分のままでいいんだと、少し自信が持てました」と晴れやかな表情で話した。応援の循環の歯車は、少しずつ回り始めている。
(ライター 高橋恵里)