輝くよりも大切なこと 女性の生き方、取材続ける19歳ウーマンズイノベーション代表 大山友理さん

大のサッカーファンという大山さん。元日本代表・本田圭佑さんの「リスクのない人生なんて、逆にリスクだ」という言葉が背中を押している
大のサッカーファンという大山さん。元日本代表・本田圭佑さんの「リスクのない人生なんて、逆にリスクだ」という言葉が背中を押している

「女性が輝く社会」とは、どんな社会のことだろう。多くの男女と同じように戸惑い、ロールモデルの女性を訪ねて等身大の問いをぶつけ、その多様な生き方を発信している若者がいる。津田塾大学2年の大山友理さん(19)。高校時代に塾の仲間と設立した有志団体「ウーマンズイノベーション(略称ウーマンズ)」の代表だ。発足から3年、キラキラした成功物語とは違うものに光を感じ始めた。

「思い通りに行かないとき、自分が何を求めているのか冷静に見つめるようにしたら、生きやすくなった」「チャレンジすると決めたら、その覚悟と同じくらい自分を許す力も必要」――。人生の先輩たちの、心にすっとしみ込むような言葉がいくつも並ぶ。ウーマンズがブログで発信する取材リポート。IT起業家や国際機関の幹部、スタイリストから転職して活躍を続ける女性まで、取材したのは37人。内容は学生時代の取り組みや仕事を選んだいきさつ、夫とのなれそめや結婚の決め手にまで及ぶ。

取材に応じてくれているのは、ウーマンズのメンバーがその人物の講演会などに出向いて交渉を重ね、熱意に共感してくれた人々だ。大山さんは「何の実績もない高校生が始めたことに対して、応援してくれる方がこんなにいるんだというのが衝撃的だった」と振り返る。

なぜ働きたくても働けないのか

大山さんが別の高校に通う塾の友人3人と団体を立ち上げたのは17年4月、高3の春だった。きっかけは、病に倒れた父に代わって母が働こうとしたものの、うまく就職できなかったことだ。専業主婦だった母は懸命に仕事を探したが、弟妹を含め3人の子供がいる家庭を守るのに十分な収入がある職は得られなかった。「どうして?」。女性の活躍を応援する機運は高まっているはずなのに、実際には仕事と育児の両立はままならない現実があった。

「働きたくても働けない人がいるんだ」。そう気づいた大山さんの関心が最初に向いたのは、自分でやりたい仕事を選択し、満足して働くための道筋だった。活動を通してその答えに近づく経験ができれば、大学が小論文や面接で合否を決める「アドミッションズ・オフィス(AO)入試」の無駄にはならない、そんな意識もあった。

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祖母は「町のロールモデル」