ライブビューイングが急成長 映画館で音楽や演劇

日経エンタテインメント!

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映画館のスクリーンで音楽ライブや演劇などを鑑賞する、ライブビューイング(以下、LV)の開催が増えている。国内唯一のLV専門配給会社である、ライブ・ビューイング・ジャパンが手掛ける1年間の実施回数は、2011年がわずか20回だったのに対して、18年は初めて200回を突破した。

コンサートの企画・運営側にとって、LVの魅力といえば、コンサート会場のキャパシティを超え、さらなる集客が可能になる点だ。ライブ・ビューイング・ジャパンがこれまでに手掛けたLVでは、15年に行った東方神起のソウル公演の中継が、なんと10万人を動員したという。これは、彼らにとってデビュー10周年のスペシャル公演であり、さらには、その後にメンバーの兵役を控えており、しばらく活動を見られなくなるという理由があった。このような特殊な事情が重なるコンサートはまれだが、ドームクラスの公演を行うアーティストのLVなら1万人規模の動員を見込めるケースも少なくないという。

ライブ・ビューイング・ジャパンが開催したLVが対象。集計期間は2019年1月1日~9月30日

なお、LVを行うのは音楽系アーティストだけではない。表は19年1月1日から9月30日までの間に、複数回にわたってLVを行ったアーティストや作品をまとめたもの(ライブ・ビューイング・ジャパンが手掛けた公演に限る)。28回で断トツのトップとなった「AD-LIVE(アドリブ)」は、声優の鈴村健一がプロデューサーを務める即興舞台演劇シリーズ。宝塚歌劇団もLVに積極的で、同期間内では15回実施している。アニメやゲーム声優によるライブイベントなどメディアミックス展開する「BanG Dream!(バンドリ!)プロジェクト」もLVの開催が多かった。このほか、近年は2.5次元作品も増えているという。

平日開催がLV市場拡大の鍵

このように、LVを行うコンサートや演劇作品などが増える今、ライブ・ビューイング・ジャパンの小谷浩樹氏は「箱を押さえるのが、年々難しくなっている」と語る。「1年は52、53週、つまり土日は約100日しかありません。他社が実施するLVに加えて、映画も毎週末に公開されます。弊社だけで実施回数が年200本を超える今、週末は飽和状態になっています」(小谷氏)

そこで、昨今、力を注ぐのは平日の開催だ。まず思いつくのは、平日開催されるコンサートのLVだろう。ライブ・ビューイング・ジャパンでは、天童よしみなどの演歌歌手や、古舘伊知郎のトークライブも中継している。

だが、基本的にコンサートやイベントの多くは、集客できる休日に開催される。LVのために開催日をコントロールすることはできない。そこで増えているのが、「ディレイ・ビューイング」だ。これはライブなどを収録した映像を流すもの。「ディレイは平日に行うことも多いのですが、実際にコンサートに足を運んだ方も、『会場では見られなかったアーティストの表情などが分かる』『ライブの余韻を楽しみたい』と見に来るケースが多い」(小谷氏)

今年5月には、通信カラオケ大手のJOYSOUNDが、カラオケルームでLVが楽しめる新機能「みるハコ」を搭載した最新機種を投入。生中継のほか、BiSH、10-FEETといった人気アーティストのライブの配信も行っている。コンサート会場以外でも、ライブを楽しめる場はさらに広がっているのだ。

(日経エンタテインメント!編集 羽田健治)

[日経エンタテインメント! 2019年12月号の記事を再構成]