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「時間価値」を切り口にデジタル時代の新しい経済を分析する

「時間価値」を切り口にデジタル時代の新しい経済を分析する

スマホの普及によって私たちの「時間」との付き合い方が劇的に変化しつつある。今や、時間の価値は万人に平等のものでない。ほんのわずかな使い方の差で人生の満足に大きな差がつきかねない。気鋭のコンサルタントによる『時間資本主義の時代』は、時間を希少資源と捉え、その利活用の観点から現代の企業行動や消費、働き方を分析している。移り変わりの激しいデジタル時代の底流を理解したいビジネスパーソンに好適な教養書だ。

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松岡真宏氏

松岡真宏氏

著者の松岡真宏氏は東京大学経済学部卒業後、野村総合研究所やUBS証券などで流通・消費部門の証券アナリストとして活動しました。2003年には産業再生機構に入社。カネボウやダイエーの取締役に就任して再生計画実行に携わります。07年にプロ人材によるワンストップ型企業支援に取り組むフロンティア・マネジメントを設立して共同代表に就任。同社は18年に東証マザーズに上場しました。本書は14年に出版された『時間資本主義の到来 あなたの時間価値はどこまで高められるか?』(草思社)を大幅に加筆修正したものです。

個人が時間を売り買いできる

21世紀に入ったばかりのスマホがまだなかった時代。通勤電車が来るまでの待ち時間、仕事中にトイレに立つ数分間、あるいは横断歩道で信号が青に変わるまでの1分あまりの時間に、私たちがなにか生産的な作業をすることは思いも寄りませんでした。今は、わずかな時間があればLINEを見たりニュースをチェックしたり、レストランを予約したり……。様々なことができてしまいます。生活者にとって「すきま時間」が新しい価値をもつ時代になりました。

これは、私たちにとって時間の価値が変化しつつあることを示す一例です。すきま時間の価値が高まる一方で「休日やアフター5の自由に使える4時間」とか「新幹線に乗っている間の誰にも邪魔されない2時間30分」といった「かたまり時間」の意味もまた変化しています。クリエーティブな仕事をする人は積極的に「すきま時間」を有効活用しますが、その目的は自由になる「かたまり時間」を確保することです。そしてまとまった時間には例えば「直接他者とコミュニケーションを行い、自分だけの経験や情報を獲得しようとする」のです。

時間資本主義とは、ますます希少価値が高まる時間を資本と捉えて、経済や社会の流れを読み解く試みである。今後、人間は「時間価値」という観点から、商品やサービスを選ぶようになる。私たちは何をするにも時間という概念から逃れることはできない。だからこそ、逆説的だが、時間制約という枠組みから、心理的に脱却できるような商品・サービスを求めるようになる。
(第2章 時間価値の経済学 52ページ)

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