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バターの逆襲 発酵やグラスフェッド、高級品が身近に

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NIKKEI STYLE

バターの消費が堅調である。「発酵」「グラスフェッド」など製法や飼料のこだわりを売りにするものも増えてきた。今回は種類も使い方もバリエーション豊かに、より高級路線になってきたバターの話題をお届けする。

食の取材で、「バターのこだわり」について説明される場面が増えてきた。「こちらの料理には最高級の発酵バターを使っています」とか「当店のバターは牧草を食べて育った牛の生乳から作るグラスフェッドバターです」とか「澄ましバターを使用しています」など。バターの種類も使い方もバリエーション豊かになってきたようだ。

日本の一般的なスーパーで見かけるバターはおもに2種類。塩を加えた「有塩バター」と、塩を加えない「食塩不使用バター」だ。後者は主に菓子作りに使われる。

成分による分類のほかに、製法による分類も2種類ある。通常バターは生乳をクリームと脱脂乳に分離させて製造する。このクリームを発酵させずにそのままバターにしたものが「無発酵バター」。日本で売られているバターのほとんどがこちらである。

対して、このクリームに乳酸菌を加え発酵させた後に脂肪の粒を集めて練り上げたものが「発酵バター」。ひと手間かかっているだけあり、無発酵バターよりも値段は若干高い。高級スーパーや製菓材料専門店などで扱っている。

発酵食品独特の深いコクと味わいがあり、ヨーグルトのようなさわやかな芳香が特徴だ。

ヨーロッパではこちらが主流で、輸入ものではフランスの「エシレバター」や「イズニーバター」が有名。総合化学メーカーのカネカも今年からベルギーのピュアナチュール社の発酵バターの輸入に乗り出した。

「弊社は化学メーカーでさまざまな商品を扱っており、そのうち4分の1は業務用の食品を扱っています。ベルギーに樹脂工場があり、出張や駐在で現地に滞在する社員がベルギーのバターのおいしさに魅了され、本場の味を届けたいといことで、輸入することになりました」(カネカ乳製品事業開発ストラテジックユニット販促企画チーム天川隼人さん)。

同社の発酵バターはベルギーの伝統製法を継承し、たった2人の職人が厳選されたオーガニックの生乳を使って手作りしているという。冷凍せずに冷蔵のみでごく少量、売り切れる分だけを輸入しているという貴重なものだ。

発酵バターの簡単でおいしい食べ方について聞いてみると、「フランスではフランスで定番の食べ方、『ラディッシュバター(ラディバタ)』がおススメです。適当にラディッシュを切って、バターをたっぷり乗せ、塩をかけるだけなのですが、フレッシュな味わいで非常においしいです」(天川さん)とのこと。

そのほか、冷蔵庫でバターを冷やして厚めに切って、そのまま、あるいはパンやクラッカーにのせて食べたりもするのもおいしい。バターはパンに「塗って」食べるもの、パンをおいしく食べるための「脇役」というイメージがあるが、発酵バターはこれを「主役」に、おやつにもつまみにもなる。

乳牛の飼料へのこだわりを前面に出したバターも出てきた。「グラスフェッドバター」がそれである。グラス、つまり牧草をエサにして育った牛の生乳から作られるバターのこと。飼料や肥育にこだわるだけに、値段もかなりはる高級品だ。対して、トウモロコシなどの穀物を食べて育てられたものは「グレイン(穀物)フェッド」という。肉牛では一般的に使われている用語で、日本や米国ではグレインフェッドが多い。

欧米ではグラスフェッドの牛肉やミルク、バターを選ぶ人が増えており、その流れが日本にも上陸した模様だ。「放牧牛が好き」という面もあるが、「サッパリした後味がいい」と選ぶ人もいる。ハリウッドセレブたちがこれを使った「バターコーヒー」健康法を実践しているという話題も、グラスフェッドバターの人気を後押しした。

バターの使い方として「澄ましバター」も注目されている。澄ましバターとは、バターを湯煎するなどして溶かし、乳脂肪から乳固形分と水を分離除去したもの。つまり、純粋な脂肪分だけが残ったものである。

料理に使うと普通のバターよりもクリアで上品な味に仕上がる。バターは調理の際に焦げやすいのが難点だが、澄ましバターは焦げやすい成分が除去されているので、焦げつく心配もない。インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」で万能オイルとして使われる「ギー」もこの「澄ましバター」の一種で、ヨガをしている人が食生活に取り入れていることも多い。

市販のバターから手作りすることもできるし、「澄ましバター」「ギー」として健康食品の店などで手に入れることもできる。

最後に、日本のバターの消費の動向についてみておこう。農林水産省の「食料需給表」によれば、「国民1人1日当たりのバター消費量」は最新の2018年のデータで1.7グラム。2015年には1.6グラム、16年1.6グラム、2017年1.5グラムなので、わずかながら増えている。

別のデータを見る。総務省の「家計調査年報」の「2人以上世帯1世帯当たり年間バター消費量」の最新データは18年で503グラム。15年は459グラム、2016年は471グラム、17年は492グラムで上昇傾向にある。

Jミルクにその理由について聞いてみると「以前ほどの不足感がなくなったこと、料理での利用増などから消費者に見直され、消費量が増加したものと推測されます」とのこと。同法人は生乳及び牛乳乳製品の生産・流通の安定並びに牛乳乳製品の消費の維持拡大を図るための酪農乳業関係者による組織である。

バター不足は08年ごろから断続的に発生してきた。バターの原材料は牛から採れる生乳である。生乳は新鮮さが求められる牛乳や生クリームの供給量がまず最優先で確保され、これらが余ったときに保存用としてバターと脱脂粉乳が作られる。そのため後継者不足で酪農農家が減少とか、猛暑で生乳があまり採れなかったなどの理由で原材料が不足するたびにスーパーの棚から姿を消していた。

バターの輸入はコメと同じで日本の生産者を守るために制限されてきたが、農林水産省はバターの安定的需給を図るため17年度、18年度に1.3万トン、19年度に2万トンのバターの輸入枠数量を設定。以前のような不足状態はなくなってきたようである。

バター不足からバター離れが定着している印象を抱いていたが、流通量も確保され、世の食卓に戻ってきた模様だ。

今回紹介したように、バターと一口でいっても成分や製法、飼料、生産国、使い方によって種類はさまざま。軽い口当たりのものも増えてきて、バターは濃厚すぎると敬遠していた人にも好みに合うものがあるかもしれない。味の違いは食パンやフランスパンなどに塗って食べてみるのがわかりやすいだろう。いろいろ試して好みのバターを見つけてほしい。

(ライター 柏木珠希)

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