時代に敗れ、最後に勝った安藤百福 ハーバードの視点ハーバードビジネススクール教授 ジェフリー・ジョーンズ氏(上)

日清食品創業者、安藤百福氏
日清食品創業者、安藤百福氏

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。10人目は、インスタントラーメンの父、安藤百福を題材に教材を書いたジェフリー・ジョーンズ教授だ。

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佐藤 今年7月、ハーバードビジネススクールの教材「安藤百福とラーメンの国際化(Momofuku Ando and the Globalization of Noodles)」が出版されました。ジョーンズ教授が日本企業の創業者を教材で取り上げるのは、「岩崎弥太郎:三菱の創業」に続いて2回めです。なぜ日清食品グループの創業者である安藤百福に興味を持ったのですか。

世界の食習慣まで変えたインスタントラーメン

ジョーンズ 私はこれまで企業や製品のグローバル化の歴史について多くの教材を書いてきましたが、日本から世界へ急速に普及していったインスタントラーメンのグローバル化は驚くべき事例であり、ずっと教材にしたいと思っていました。

ハーバードビジネススクール教授 ジェフリー・ジョーンズ氏

また「日本が世界経済の発展にどのような役割を果たしてきたか」という観点から見ても、インスタントラーメンの事例は興味深いものです。インスタントラーメンは、世界の人々の食習慣まで変えてしまった食品です。世界でインスタントラーメンは「20世紀に日本が起こした最も重要なイノベーションの一つ」とも言われています。このような偉大な発明をした安藤百福とはどういう起業家なのだろうか、と自然に興味を持ち、教材にしたいと思ったのです。

佐藤 安藤百福の人生は浮き沈みが激しく、波乱の連続です。百福の一代記は物語として面白いことから、日本では連続ドラマも制作されたほどです。百福の人生のどの部分に特に興味を持ちましたか。

ジョーンズ 成功も失敗も両方面白いです。安藤百福の人生が魅力的なのはむしろ「大きな成功と大きな失敗」の両方を体験しているところです。

起業家の成功と失敗、両面を教えられる教材

安藤百福の人生を俯瞰(ふかん)でみてみると、48歳でチキンラーメンを完成させるまでの前半は失敗の連続で、48歳から96歳までの後半は順風満帆です。人生の前半がほぼ失敗で、後半が成功。安藤百福を教材にすれば、「起業家が直面する成功と失敗」の両方を教えることができます。

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