誰が・いつ・どれだけ 株式の需給情報、相場読むカギ

海外勢は現物株だけでなく、指数先物を取引することも多い。動向をみるうえで役に立つのが「裁定取引残高」。裁定取引とは先物と現物の価格差を利用して利ざやを稼ぐ手法。相場下落局面で先物の売りが増えると、割安になった先物を買って現物株を売る裁定取引が活発になる。

裁定売り残に注目

こうして積み上がるのが現物株の裁定売り残だ。9月初めには過去最大規模の2兆円にまで膨らみ、市場で話題になった(グラフB)。「さすがに先物が売られすぎで、買い戻しが入るとみる関係者は多かった」(東海東京調査センターの仙石誠氏)。その後、売り残の解消とともに日経平均は上昇した。

「空売り比率」や「信用残高」も知っておきたい。空売りとは手元に持っていない株式を証券会社などから借りて売ることをいう。いずれ買い戻して返却する。空売り比率が高まれば、買い戻しの動きが出た際に上昇幅が大きくなりやすい。空売り比率は東証が市場全体に加えて業種ごとにも公表している。最近では景気敏感株を含む業種の空売り比率が高い(表C)。

証券会社から資金を借りて株を購入する「信用買い残」や株を借りて売却する「信用売り残」も個別株の値動きの参考になる。制度信用取引という仕組みを使うと、6カ月以内に反対売買をしなければならず、買い戻しや売り圧力が推し量れる。

信用買い残に比べて売り残の比率が高い銘柄の1つが吉野家ホールディングス。買い残を売り残で割った信用倍率は0.1~0.2倍程度。「超特盛」のヒットを好感して株価が上昇した際に、逆張り姿勢の投資家が信用売りをしたようだ。思うように株価が下がらなければ買い戻しが広がる可能性がある。

裁定取引や信用取引などの情報は日本取引所のサイトで確認できる。需給情報は投資家の過去の動きを示すだけでなく、その時々の投資家の持ち高(ポジション)を表す面があるので将来予測の参考になる。業績や景気動向のファンダメンタル分析などと組み合わせて活用していきたい。

(久保田皓貴)

[日本経済新聞朝刊2019年12月7日付]

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