2年前まで上海の日系広告代理店で働いていた男性は「本当に連絡しなければならない担当者は1人だけですが、いつもCCには同じチームのメンバー10人くらいが入っていました。その方々からは反応がないので、見ているかはわからないのですが、メールの順番にも上下関係があることを初めて知りました」と話していました。「内容や意味合いよりも形式にこだわる点こそ、日本人が重視するところだ」と最近は理解しているそうです。

本書は「仕事」のほかに「食文化」や「人づき合い」など生活全般にわたって中国人が驚いたエピソードをふんだんに取り上げます。「中国人の多くが、すき焼きに添えられる生卵を食べられない」「日本人が贈り物をもらったらすぐにお返しするのは、不思議」「飲み会で上司が女性部下を『ちゃんづけ』で呼ぶのは不快だ」といった具合です。

なぜ「紅色」がイメージカラーなのか

日本人が抱きがちなステレオタイプな中国像や誤解についても「第5章 テレビの中国特集で流れる謎のテーマ曲 日本人の中国観」で詳しく紹介しています。

・「中国を代表する有名人」はなぜか香港出身
・なぜ「紅色」がイメージカラーなのか
・「白いウエディングドレスは縁起が悪い?」
・中国人と言えば「烏龍茶を飲む」は間違いです
・中国人以上に「三国志」が好きな日本人
……

お互いの「誤解」や「思い込み」の事例をたくさん盛り込んだ上で、著者は「お互いが、勝手にお互いのイメージを膨らませることの怖さ」を知るべきだと訴えます。

日本ではあまり知られていませんが、実は、このところ中国では異様なほどの「桜ブーム」です。日本を象徴するシンボルに好感を持たれること自体は歓迎すべき現象です。しかし、過熱しすぎた感もあるブームが日本のイメージをゆがめる結果にもなりかねない、と著者は警鐘を鳴らします。

中国人の「桜愛」は極まるところまできており、今では中国国内での桜の植樹活動がさかんに行われるまでになったが、その肩に力が入っている様子を見ていて、いささか「やりすぎ」のような違和感を覚えないでもない。
 (中略)
 つまり日本人が考える以上に、「日本は桜の国」というイメージが強くなりすぎるのだ。
 そういう点で、春節の際、日本人が必要以上に真っ赤な飾り付けをして中国人を喜ばせようとしてしまうところと、どこか共通点があるのではないかと感じた。
(第5章 テレビの中国特集で流れる謎のテーマ曲――日本人の中国観 233~234ページ)
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共通項は「大阪のおばちゃん」?