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数多くの中国人の声を通じて異文化ギャップを浮き彫りにしている

数多くの中国人の声を通じて異文化ギャップを浮き彫りにしている

日本企業で働く中国人の多くが「カイシャ文化」やビジネス習慣に様々な違和感を覚えるという。今回紹介する『中国人は見ている。』は、数多くの中国人の声を通じてこうした異文化ギャップを浮き彫りにした。中国的なモノの見方の一端を知ることで、「近くて遠い」と言われ続けてきた隣の国の存在を今より身近に感じてみてほしい。

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中島恵さん

中島恵さん

筆者の中島恵さんは1967年生まれで、出身は山梨県です。北京大学と香港中文大学への留学経験があり、新聞記者やフリージャーナリストとして30年以上にわたって中国と付き合ってきました。これまで『中国人エリートは日本人をこう見る』『なぜ中国人は財布を持たないのか』(いずれも日本経済新聞出版社)などの著作を通じて中国のビジネス事情や社会事情を日本の読者に紹介しています。

「推測+期待+テレパシー」に戸惑い

日本国内でも、ビジネスパーソンや観光客、留学生などさまざまな立場の中国人と接する機会が増えています。読者の中には、中国人や中国国籍の同僚と働いているという人も多いのではないでしょうか。中には「中国人社員の行動や発想がイマイチ理解できない」と感じる人もいるかもしれません。実は中国人の側でも「日本的習慣は、とても不思議」だと思っている人たちがかなりいるのです。

その一つがコミュニケーション・ギャップです。日本の大学院を卒業して、東京都内の金融機関に入社した陳悦さんの話に耳を傾けてみましょう。

「私の上司は重要な話をするとき、会議室に呼び出して必ず二人だけでします。そこで私に注意するのですが、わざわざ別室なのに、話が回りくどく、何がいいたいのかよくわかりません」
 陳氏が「つまり、こういうことですか?」と確認すると、上司は露骨に嫌な顔をする。
 「私が聞いたことに正面から答えてくれないことが多くて、『そんなこと、自分の口からいわせないでよ。日本に長いんだから、いわなくてもわかるでしょ?』という態度です」
ちなみに、陳氏は私が知る在日中国人でもかなり日本語が流暢で、物事には敏感なほうだ。
(第2章 ここがおかしい日本の会社――仕事 79~80ページ)

神戸生まれ神戸育ちの華僑で、上海でコンサルティング会社を経営する金鋭氏は「日本人的コミュニケーション術は『推測+期待+テレパシー』だと指摘します。「こうかな?」と相手の気持ちを推測する。そして「こうしてほしい」という期待を込めて、自分の意思を態度や表情でそれとなく相手に伝えるのが日本人流だというのです。

ビジネスメールで多用されるCCの使い方も、日中の文化ギャップを象徴する好例です。中国の企業ではSNSのウィーチャットで仕事の連絡をやりとりすることが多いようです。仕事のプロジェクトごとにグループをつくって連絡しますので、宛先は自動的に表示されます。そのため、いちいち宛先を入力する作業に戸惑うといいます。

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