軸に傷の自己修復機能を搭載

多少の擦り傷なら自己修復するという「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」

もう一つの新製品は「ジェットストリームプライム」シリーズの1本。プライムはジェットストリームの高級軸ライン。大事な取引先の前でも安心して取り出せるし、ギフトとしても贈れる高級ボールペンのシリーズだ。

「もともとプライムは機能性と先進的なデザインを併せ持つというコンセプトのシリーズなのですが、今回は、キレイに見せるだけでなく、機能性と上質さを併せ持ったもの。その人にとって特別な一本になるボールペンにしたいというところから、自己修復機能を考えました」と、開発を担当した商品開発本部商品第2グループ係長の百田崇人氏。そう、この「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」は、多少の擦り傷なら、自己修復して元の美しさを取り戻す機能を搭載しているのだ。

購入したときの状態を保ちたいという人にとっては自己修復する機能はうれしいだろう。プレゼントするときの話題にもしやすいはずだ

「お買いになられた商品の初めて見た美しさが長続きすると良いと思ったんです。キレイさやデザインを追求するだけでなく、それを支えるものもしっかりやっていこうという意図がありました。見た目にも機能を持たせるという意味でも、プライムのコンセプトに合っていると考えました」と百田氏。実際、革製品でも経年変化を楽しめる植物なめしが好きな人と、買った時のままの状態が長く続くクロームなめしが好きな人は、どちらが多いとはいえないくらい、好みとして拮抗している。ペンケースなどに傷の心配なく安心して入れられるボールペンは、確かに魅力的だ。「このペン、自己修復機能があるんだよ」といえるのは、自分で使うとき、プレゼントするとき、どちらでも話題にしやすいだろう。

「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」の開発を担当した百田氏

その仕組みは、トップコートに自己修復性のある塗装を採用したこと。従来の、傷がつかない硬いコーティングではなく、柔軟性のあるコーティングによって、傷に対して反発するような仕組みだ。なので、カッターで付けた傷や、落として付いた傷などは修復できないが、カバンの中やペンケースの中で付いた擦り傷のような、スクラッチ系の傷ならかなり修復できる。「日常生活の中で、自然と付いてしまう傷、使っているうちに細かい傷で失われる光沢感が長持ちするという感じですね」(百田氏)

その柔軟性のあるコーティングのため、実際に握ると、かなりのフィット感がある。しかも滑りにくい。自己修復機能よりも、この吸い付くような持ち心地が、むしろ私は気に入ってしまった。もともと、このプライムの回転軸のシングル式は、筆記具としてのバランスがとても良い製品だったので、この握り心地でさらに使いやすいペンになったと思う。ただ、この握り心地については、最初から計算していたわけではないらしい。

「滑らか」がベースにあるからこそ

この「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」にせよ、「ジェットストリームエッジ」にせよ、どちらも、もう「滑らか」な低粘度油性インクでスイスイ書けるという部分ではないところにウリがある製品になっている。

それでいて、ベースにはジェットストリームのインクによる筆記具としての性能があるのだ。一つのすごい技術が、さらに新しい方向に進化していくという、その過程が、とても面白く、しかもどちらも実用性が高いというのが素晴らしいと思う。自己修復機能が付いた「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」は数量限定商品なので、興味がある人は早めに実物に触れてみることをお薦めする。

左から担当製品を持つ岡本さん、永見さん、百田さん。三菱鉛筆本社のロビーで
納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

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