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超極細と自己修復 新世代ジェットストリーム開発秘話

納富廉邦のステーショナリー進化形

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NIKKEI STYLE

三菱鉛筆の「ジェットストリーム」は、発売から13年を数え、今や日本を代表する油性ボールペンの一つとして、多くの人に当たり前のように使われている。当たり前になりすぎて、まるで油性ボールペンというのは、こんな風に滑らかにスイスイ書けるものだと思ってしまうほどだ。ジェットストリーム以前の油性ボールペンは、本当に書き味は重く、ペン先は紙のくずを巻き込んでダマになりやすく、水性ボールペンやゲルインクボールペンに比べると、書きやすさという点では大きく水をあけられていたということも、今や遠い過去の話のようになっている。

そのジェットストリームに新作「ジェットストリームエッジ」と「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」が登場した。この2つはもはや「滑らかである」ことは当たり前のこととして、その先を見据えた製品になっているのが、とても面白い。現在のボールペンシーンをけん引する製品が、今、どんなふうに進化しているのかを、この2つの新製品に対する取材を元に、紹介したいと思う。

極細0.28ミリを実現

「ジェットストリームエッジ」は、ボール径が0.28ミリという、超極細字を油性ボールペンで実現した製品。ゲルインクボールペンなどでは、既に実現していた(といっても製品数は多くない)0.28ミリではあるが、水性インクであるゲルインクボールペンよりもインクがにじまない分、実際の筆記幅は、この「ジェットストリームエッジ」のほうが細く書きやすい(ボールペンは紙の種類やインクの流量によって、筆記幅は変わってしまうので、ボール径だけでは厳密に最も細い線が書けるとは言えないのだ)。

従来、油性ボールペンのボール径の主流は0.7ミリから0.5ミリへと移行してきていて、0.38ミリの製品までは既に発売されていた。日本では漢字など画数の多い文字を書くため、細字のほうが人気があり、さらに手帳などの狭いスペースに小さい文字を書きたいユーザーも増えていて、細字へのニーズがあることは分かっていた。この製品も、当初は0.28ミリのボール径が実現できそうだという話があったところからスタートしたという。

「とはいっても、0.38ミリではまだ太いと感じているユーザーが多いと思っていたわけではありません。一方で、その先の細さを求めているユーザーもいるはずだという確信もありました」と、「ジェットストリームエッジ」の開発を担当した、三菱鉛筆商品開発部商品第2グループ係長の永見周太郎氏。油性ボールペンで0.38ミリという製品が登場したことでも、かなりの衝撃だったところに、今回は0.28ミリである。かつての油性ボールペンでは考えられない事態なのだ。

「ボール径が小さくなると、インクの通り道も細くなるわけで、そこを今回クリアできた要因の一つには、低粘度油性インクだったからというのはあります。またボールペンとして、途中で書けなくなるというのはあってはならないことなので、ペン先を構成しているボールの安定性やボールを支える台座の摩耗性など、インクの最初から最後まで書き切ることができるようにするのは、かなりの技術が必要でした」と永見氏。「インクが途切れない」「インクが出過ぎない」というコントロールが難しいのは想像に難くない。しかもボール径が小さくなるほど、ボールの回転数は増すわけで、そこに十分な耐久性を持たせるのも難しい。

「かつてシグノビットというゲルインクボールペンが三菱鉛筆にはあって、それが0.18ミリのボール径だったんです。そういう製品を作っていたノウハウがあったことも、今回の製品開発に生きています」と商品開発本部商品第2グループグループ長の岡本達也氏。

そうやってできたボールペンは、従来の油性ボールペンの細字タイプの常識からも外れた、新しい可能性を持つペンに仕上がったように思う。例えば、手帳などに細かい文字を書き込む場合、ちょっと指が筆記部分に当たっても、インクが擦れて文字が流れてしまうこともない。その安心感はゲルインクボールペンにはないものだろう。

細い文字を書くためのデザイン

面白いのは、そのデザインだ。手帳に細い文字で書くというのは、女性ユーザーに多いように思えるのだが、実際の製品は、それこそエッジの効いた、製図用シャープペンシルに近いツールっぽさがある。開発チームとしても、そういう線を狙ったのだという。「ふわふわとしたかわいさではなく、製品の特長との親和性を考慮し、細字を書くための専門的なツールとして使用される、洗練されたクールな雰囲気を出したかった」(永見氏)

このデザインは実用性も重視している。

「細い文字を書くシーンを考えて、そこで使いやすくなるように、ペン先の見通しの良さ、持ち手の太さ、重心バランスを一番にデザインしています。手帳用と呼ばれるボールペンは細い軸のものが多いのですが、いざ書こうとすると書きにくいものが多い。そうならないように、書きやすさを求めたいと思ったんです。しかも極細の線になるので、ペン先のコントロールはとても重要だと考えました」という永見氏の話し通り、実際に使ってみると、書きたいところにピタッとペン先が当たるのがとても気持ち良いのだ。しかもノック式ながらペン先のブレもとても小さい。先端のチューブ式のデザインが、この精度を実現しているのだそうだ。

従来のジェットストリームは「滑らかさ」がセールスポイントだったこともあって、曲線を取り入れた流線型をイメージしたデザインが基本だった。しかし、今回は、「滑らか」よりも「超細字」のほうをイメージする「直線」や六角形の軸の放射線のような「鋭さ」や「シャープさ」をコンセプトにしている。これはジェットストリームという製品が新しい領域に踏み込んだということだろう。

1本1000円という価格も、このデザイン、この使い勝手ならば、むしろ安く見える。リフィルだけで200円なのだから、本当にリーズナブルだ。「ジェットストリーム、ジェットストリームプライムと同様、ジェットストリームエッジという新しいシリーズと考えていただいてよいと思います」と永見氏が、今回の製品に思い残した点はないと胸を張る自信作。実際、他に比べる製品はない、新しいボールペンだと思う。

軸に傷の自己修復機能を搭載

もう一つの新製品は「ジェットストリームプライム」シリーズの1本。プライムはジェットストリームの高級軸ライン。大事な取引先の前でも安心して取り出せるし、ギフトとしても贈れる高級ボールペンのシリーズだ。

「もともとプライムは機能性と先進的なデザインを併せ持つというコンセプトのシリーズなのですが、今回は、キレイに見せるだけでなく、機能性と上質さを併せ持ったもの。その人にとって特別な一本になるボールペンにしたいというところから、自己修復機能を考えました」と、開発を担当した商品開発本部商品第2グループ係長の百田崇人氏。そう、この「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」は、多少の擦り傷なら、自己修復して元の美しさを取り戻す機能を搭載しているのだ。

「お買いになられた商品の初めて見た美しさが長続きすると良いと思ったんです。キレイさやデザインを追求するだけでなく、それを支えるものもしっかりやっていこうという意図がありました。見た目にも機能を持たせるという意味でも、プライムのコンセプトに合っていると考えました」と百田氏。実際、革製品でも経年変化を楽しめる植物なめしが好きな人と、買った時のままの状態が長く続くクロームなめしが好きな人は、どちらが多いとはいえないくらい、好みとして拮抗している。ペンケースなどに傷の心配なく安心して入れられるボールペンは、確かに魅力的だ。「このペン、自己修復機能があるんだよ」といえるのは、自分で使うとき、プレゼントするとき、どちらでも話題にしやすいだろう。

その仕組みは、トップコートに自己修復性のある塗装を採用したこと。従来の、傷がつかない硬いコーティングではなく、柔軟性のあるコーティングによって、傷に対して反発するような仕組みだ。なので、カッターで付けた傷や、落として付いた傷などは修復できないが、カバンの中やペンケースの中で付いた擦り傷のような、スクラッチ系の傷ならかなり修復できる。「日常生活の中で、自然と付いてしまう傷、使っているうちに細かい傷で失われる光沢感が長持ちするという感じですね」(百田氏)

その柔軟性のあるコーティングのため、実際に握ると、かなりのフィット感がある。しかも滑りにくい。自己修復機能よりも、この吸い付くような持ち心地が、むしろ私は気に入ってしまった。もともと、このプライムの回転軸のシングル式は、筆記具としてのバランスがとても良い製品だったので、この握り心地でさらに使いやすいペンになったと思う。ただ、この握り心地については、最初から計算していたわけではないらしい。

「滑らか」がベースにあるからこそ

この「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」にせよ、「ジェットストリームエッジ」にせよ、どちらも、もう「滑らか」な低粘度油性インクでスイスイ書けるという部分ではないところにウリがある製品になっている。

それでいて、ベースにはジェットストリームのインクによる筆記具としての性能があるのだ。一つのすごい技術が、さらに新しい方向に進化していくという、その過程が、とても面白く、しかもどちらも実用性が高いというのが素晴らしいと思う。自己修復機能が付いた「ジェットストリームプライム 回転繰り出し式シングル」は数量限定商品なので、興味がある人は早めに実物に触れてみることをお薦めする。

納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

納富廉邦のステーショナリー進化形バックナンバー(筆記具)
消耗品から「高級実用品」へ ボールペン、進化の秘密
仕事の筆記具変えた、本当に芯が折れないシャープペン
最新「多機能」ペン 価格、替え芯で製品の幅広がる

(写真 吉村永)

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