珍味とおつまみは違う 「チーズ鱈」進化の四半世紀なとり 取締役執行役員 マーケティング・R&D開発本部長 西村豊氏(下)

見直し続ける「おつまみ」の定義

商品を開発するための会議は、大きく2段階に分けられる。まずはテーマの取捨選択を議論する新製品アイディア検討会。次にそれらを製品化するための課題を解決する新製品開発会議が毎月開かれる。双方の会議とも関連部門だけでなく社長も加わる。

新商品を発売するのは、毎年3月と9月だ。こうした定番商品は年間20から30品目発売している。定番以外にも、期間限定品やリニューアル、さらにはプライベートブランドとして製造を請け負っている製品もある。年によって違いはあるものの、それらをすべて含めると「年間100品目以上になる」という。

西村氏によると「定番商品の開発の場合、アイデア段階の提案から商品化されるまでの割合で言うと打率は1割以下」というから、商品化へ向けてのハードルは高い。

取締役執行役員でマーケティング・R&D開発本部長でもある西村氏は毎日、ボツになった商品も含め、数種類は試食している。試食をしすぎて、「時にはお昼ご飯を食べるのが嫌になることもある」ほどだ。「開発資源を無駄にしないためにも、開発を止めるものは早く止めることも大事」だという。

チーズの種類やチルド流通への対応などで、商品バリエーションが広がり続けている

絞り込む際に最も重視しているのは、商品コンセプトだという。「おいしいものに仕上がっているかはもちろんですが、おいしくても売れない商品をいくつも見てきました。お客様にどういう価値をお届けしたいかという商品コンセプトを重要視しています」(西村氏)。

絞り込んだ候補を社長に提案し、最終的に商品化するか否かの決定が下される。ここでも、重視されるのはやはり、コンセプトだ。

なとりでは「おつまみ」の定義も、時代に応じて変えている。「初代の名取光男社長から2代目小一社長の途中までは、『珍味』という言葉をよく使っていました。珍味には水産加工品が多く、言葉そのものに『希少価値のある』という意味が含まれます。より幅広い消費者に向けて商品を出していくため、小一社長の時代に常温流通が可能で手軽につまめるものを『おつまみ』と定義しました。この『おつまみコンセプト』によって、社内では『珍味』と『おつまみ』を明確に区別し、おつまみの開発に注力するようになりました」

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