文豪いじりSNS映え 奇書「もしそば」が売れる理由学生消費 裏からみると…(2)

常見陽平(千葉商科大学専任講師)

常見陽平(千葉商科大学専任講師)
2019/12/16
「もしそば」を手にする著者の1人、菊池良氏(左)と担当編集者の九内俊彦氏(右)
「もしそば」を手にする著者の1人、菊池良氏(左)と担当編集者の九内俊彦氏(右)

U22世代に売れた商品について、そのヒットの要因や、仕掛け人の動きを追う新企画。今回は、文豪や有名作家の文体をまねてつくったベストセラー本「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」(神田桂一・菊池良著 宝島社 通称・もしそば)を取り上げる。若者の活字離れがいわれる中で、学校の教科書にも載っている文豪や有名作家の文体をパロディーにするスタイルと、ツイッターやインスタグラムなどのSNSにフィットする内容とが相まって若い世代に受け入れられたようだ。

「もしそば」は、100人以上の国内外の文豪や有名作家の文体をまねて、カップ焼きそばの作り方を延々と書き連ねた本だ。太宰治、芥川龍之介などの文豪から、小沢健二や星野源などのミュージシャン、さらには、やまもといちろう、ちきりんなどのブロガーまでが登場する。早速、本の中から引用してみよう。

1973年のカップ焼きそば
きみがカップ焼きそばを作ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。エレベーターの階数表示を眺めるように、ただ見ているだけだ。勝手に液体ソースとかやくを取り出せばいいし、容器にお湯を入れて三分待てばいい。その間、きみが何をしようと自由だ。少なくとも、何もしない時間がそこに存在している。好むと好まざるとにかかわらず。読みかけの本を開いてもいいし、買ったばかりのレコードを聞いてもいい。同居人の退屈な話に耳を傾けたっていい。それも悪くない選択だ。結局のところ、三分間待てばいいのだ。それ以上でもそれ以下でもない。ただ、一つだけ確実に言えることがある。完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。

村上春樹作品を読んだことがある人ならニヤリとすることだろう。このまわりくどい表現は、村上春樹の初期作品あるあるとして、マニアはもちろん、代表作しか読んでいない人でもわかる。

その後も、文体模写芸はこれでもかと続く。

松尾芭蕉なら

麺の細道 から容器 大食いどもが 夢の跡

池上彰なら

今回はなかなかニュースでは取り上げられることのない「カップ焼きそばの作り方」について解説したいと思います。

糸井重里なら

カップ焼きそばは、「適当」に作れるところが、よいところだと思う。

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