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素敵な図書館のある街に行こう 前向きエスケープ術

立川吉笑

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NIKKEI STYLE

ありがたいこととは思いつつも、時間に追われるスケジュールが長く続くときは、やっぱり消耗する。体力だけならまだしも、心が疲れてしまうといけない。だから「本当に辛(つら)いなぁ」と思ったときだけ発動する自分のための特別措置がある。事務作業でも原稿執筆でも「素敵(すてき)な図書館でやる」というものだ。

数年前、ある雑誌の特集で日本中にそんな図書館がいくつもあることを知った。どうせやらねばならない作業なら、日常とはかけ離れた場所、しかもめちゃくちゃ気持ちいい空間で取り組めば気分転換になるんじゃないかと思いついた。それ以来、忙しい日が続いて本当に辛くなったときに、落語の出番が2日ほどなければ、東京を離れて知らない街の図書館に行くようにしている。

最優先は天気、本は持参

どこに行くか決める際に最優先するのは天気。晴れの方が気持ちいいから、全国の天気をチェックして、できるだけ雨の降りそうにない場所をリストアップする。そして、晴れエリアにある図書館で「ここは雰囲気が良さそうだ」と思う場所を調べて、移動手段と宿泊先を確保する。休館日でないことのチェックも忘れずにする。

そのほかは何も調べず、思い立ったが吉日とばかり、すぐに現地へ行く。とにかく仕事道具と最低限の宿泊セット、それから2日間で読む本を何冊かリュックに詰めれば準備完了だ。

図書館に行くのに自分の本を持参するのは、本じゃなくて「場所」が目当てだからだ。特に僕は読みながら思ったことを本に書き込みたいタイプだから、図書館の蔵書はまずい。本が目当てだったら国立国会図書館に行けばいいし、もっと言えば、旅費で目当ての本を買えばいい。そうじゃなくて、あくまでも空間として図書館や街を楽しみに行くのだ。

旅先では観光などはほぼせずにホテルと図書館の往復のみが基本。近くに緑豊かな散歩コースがあればベスト。食事も郷土料理などごちそうを食べることはせずに、いつも通りかそれ以上に質素にする。とにかく図書館のある街に出かけ、事務作業をしたり、稽古をしたりするのを旅のピークに設定する。迷いなく作業に没頭できるし、最終日にはやれることはやったと気持ちも晴れやかになる。

これまで出かけた先で特に気に入ったのは石川県の「金沢海みらい図書館」、岐阜県の「岐阜市立中央図書館」、そしてこの秋に行った秋田県の「国際教養大学・中嶋記念図書館」。どれも「素敵な図書館特集」があれば必ずランクインしてくる場所だ。

金沢海みらい図書館は美術館みたいなスタイリッシュな建物で、たくさんの丸窓からこぼれる日差しが明るい雰囲気を生んでいる。金沢駅からバスで少しかかるから、駅前のビジネスホテルを拠点に朝イチでバスに乗って図書館に向かい、食事は近くのコンビニで済ませ、最終のバスでホテルに戻るサイクルになる。図書館の近くにおいしいコーヒーを出してくれる店があって、休憩がてらそこに行くのも楽しみだ。僕の図書館旅としては少し例外になるけど、「金沢21世紀美術館」に行くのもいいと思う。

宿・図書館・森を行ったり来たり

岐阜市立中央図書館は木をふんだんに使った大きな建物で、開放感があって気持ちいい。同じ建物にコンビニとコーヒショップがあるのも便利。駅から歩いて30分くらいだから、行きは散歩がてら歩いて、帰りはバスでというのが僕の定番だ。わりと街中にあるからか、黙々と勉強している受験生も多く、並んで作業すると刺激にもなる。ホテルのそばに何てことないお弁当屋さんがあって、そこで夕食を買うのも楽しみの一つだ。

そしてこの秋に行ったのが国際教養大学の中嶋記念図書館。秋田空港からは近いけど市街地からは遠い山の中にあって、僕の旅にはうってつけだ。そんなに大きくはないけど、ここも木をふんだんに使った建物が素敵。自習スペースが多く、一般ユーザーに午後10時まで開放しているのも特徴だ。大学の図書館だから、学食や売店で学生時代を思い出すことができる。留学生がとても多く、食堂のメニューは英語で書かれ、英会話があちこちから耳に入ってくるから、ちょっと外国気分が味わえる。近くの「秋田県森林学習交流館」に泊まることができるから、宿舎・森・図書館をひたすら往復し続ける夢のような時間を過ごせるのだ。

「せっかく旅に出るのに、ほとんどを図書館で過ごすのなんてもったいない」と感じる向きもあるかもしれないけど、知らない街の素敵な空間で本を読んだり自分のこれまでを振り返ったりする時間は本当に心地よい。そして日常に戻るころには「また頑張ろう」と前向きになれている。

立川吉笑
 本名は人羅真樹(ひとら・まさき)。1984年6月27日生まれ、京都市出身。京都教育大学教育学部数学科教育専攻中退。2010年11月、立川談笑に入門。12年04月、二ツ目に昇進。軽妙かつ時にはシュールな創作落語を多数手掛ける。エッセー連載やテレビ・ラジオ出演などで多彩な才能を発揮。19年4月から月1回定例の「ひとり会」も始めた。著書に「現在落語論」(毎日新聞出版)。

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧ください。

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