21年卒の就活でもう内定 始める時期は自分で決める就活探偵団

今年から政府がルールを主導することになった。21年卒と22年卒の日程は経団連ルールを踏襲する。対象企業が会員企業以外に広がることが期待されているが、ルールを破った企業への罰則規定はないことから実効性には疑問の声が上がる。

各社を取材すると「取り逃がさないように競合他社の動きを見極めて選考を始めたい」(食品メーカー)と構える企業が目立ったほか、夏季インターンで接触した有望な学生にだけ声をかけ早期選考を案内するケースもあるようだ。さらに「大手企業では一部の専門職だけ早期に選考するケースもある」(採用に詳しいデロイトトーマツグループの古沢哲也パートナー)。こうした企業の動きに学生たちの不安は増幅している。

「心配なので2年生から就活を始めました」。都内私大3年の女子学生はこう話す。フェイスブックなどSNS(交流サイト)を駆使し、すでに十数社の人事担当者に接触。複数社で選考を受けている。「今進んでいる会社は志望度が低いので、内定がもらえたとしてもたぶん行かない。これからもっといろいろな会社を受けて吟味したい」

こんな学生もいる。8月から都内のスタートアップにインターンとして働く上智大3年の男子学生は11月上旬、社長から突然「うちで正社員にならないか」と告げられた。3日くらい悩んだが「自分の力で会社を大きくしたい」との思いが募り、入社を決心したという。

企業にも学生にもリスクの可能性

ただ企業にとって早期接触・早期内定にはリスクもはらむ。せっかく学生と接点を持てたとしても、選考までの期間が長ければ「定期的に連絡したり、イベントを開いたりしてつなぎ留めておかなくてはならず手間がかかる」(金融機関)。また内定を出すのが早すぎると、学生が他社に心変わりして内定辞退される可能性もある。

リスクがあるのは学生も同様だ。自己分析や業界・企業研究が不十分なまま内定を獲得し、入社後「思っていたのと違う」と早期離職につながる可能性もある。

ゼミや授業が佳境で忙しく、多くの学生が就活まで手が回っていない。こうした学生たちを支えようと大学側も対応に追われている。

法政大学はこの夏以降、企業を招き、学内実施するミニインターンシップを開催。金融やメーカーなど8業界30社が参加した。会社訪問をしなくて済み、時間の節約になるため学生にも好評だという。

この時期、学生はどう過ごしたらいいのか。採用コンサルタントの谷出正直さんは「まだ就活をしていない人は、1週間だけでも『就活漬け』にしてみてはどうか」と提案する。仮に1日に4人の社会人と話せば平日だけで20人と話すことになる。こうした活動を通じて「働くとは何か、などを理解することがこれから就活をする上での土台になる」。

「友達の友達が○○社の内定をもらったらしい」という噂が出回ると「自分は出遅れているのではないか」と心配になるかもしれない。しかしここ数年、人材紹介や就活専門メディアなど就活サービスが相次ぎ登場し、就活を始める時期を自分自身で決められるようになった。

「学生の本分である学業を妨げないよう、ルールにのっとって従来通り選考を始める」(双日)と明言する会社が一定数あるのも事実だ。周りのペースに惑わされることなく、後悔のない就活を進めてほしい。

(企業報道部 鈴木洋介)

[日経産業新聞 2019年12月4日付]

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