少し続けると、ダラダラと続いていた夜型生活が断ち切られ、健康的な生活リズムを取り戻すことができました。本格的なジム通いとなると面倒で、私のようなタイプには続く気がしません。でも、YouTube動画を見ながら10分間の筋トレをするだけでも、かなり体力を向上させることができるのだと実感しました。

フリーランスになってから、「睡眠」が万能薬であるということを実感しています。

やる気と人付き合いと時間の使い方

フリーランスは時給制の働き方ではないため、「集中力」と「時間の使い方」についてかなり意識的になりました。この2つをしっかりコントロールできないと、デスクに向かう時間は長いが、実のところまったくパフォーマンスが高くない労働をしていた……という事態が起こりがち。

デスクワークをしながら私がよく陥ってしまうのが、「めちゃくちゃやることあるけどいろんな情報や連絡で気が散って全然片付かない!」という状況です。深い集中力が必要な仕事の最中でも、ふと気がつけばTwitterを開いている自分……。

こんな状況は一刻も早く抜け出さなければ!と衝動にかられた私が起こしたアクションは、自ら「SNSへのアクセス制限」を作ることでした。

具体的には、

・スマホからTwitterアプリを削除
・PCブラウザ上ではSNSは基本ログアウト
・アプリからの通知は基本オフ

などをすることで、集中できる環境をつくりました。すると……時間密度が爆上がり! こんな簡単な操作で私の「やる気」は持続可能なのかと思いました。普段私たちがいかに、集中力を妨げられるものに囲まれて生活しているのか、ということを実感しました。

情報化社会の今、様々な通知や宣伝が「これを買え!」「これを見ろ!」と押し寄せてきます。そんな環境下で集中することはなかなか難しく、ある程度の自衛は必要なのだと気付きました。

オーストリアで開催された世界的メディアアートの祭典アルスエレクトロニカに参加する市原さん

フリーランスならではの「自由」がゆえに、「やる気が出ない問題」にぶち当たって以来、自分でやる気のスイッチを入れて、そのやる気をキープする方法を、これまで手を替え品を替えいろいろとやってきました。

フリーランスも数年続けると仕事も定型化してきて「慣れ」が発生してくるのですが、「慣れ」こそがやる気が出ない元凶のひとつです。それに気付いたため、定期的に自分にチャレンジを強いることも意識しています。近年は海外進出をして違った言語圏や文化圏で展示をしたり、自分で祭りを主催して素人ながらオーガナイザー業務に挑戦したり、これまでやったことのないような、負荷のかかる仕事や冒険を自分に課すことで、幸い自然とやる気が復活しています。

自罰的にならず、自分を“放牧”させる

でも実は、フリーランスの大先輩である発酵デザイナーの小倉ヒラクさんいわく、「やる気」というのは出なくて当たり前で、わずかな「やる気あるタイム」に自分のパワーを最大化して効率よく活用できるようにすることが大事なのだとか。私自身、一日の大半を「やる気ないタイム」が占め、ごくわずかな「やる気あるタイム」に自分がぶちあげたアイデアの遂行やマネジメントを粛々としている、というのが実際のところです。

やる気が出ない自分に対して罪悪感を感じる必要はなく、「いまいちやる気がでないなあ」と感じたら、どうか自罰的にならず「まあそういうもんだろ」と自分を“放牧”、すなわち開放させる手を試してみていただければと思います。

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市原えつこ
メディアアーティスト。1988年愛知県生まれ。早大文化構想卒。日本的な文化・習慣・信仰を独自解釈し、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作。主な作品としては、大根を使った体験型コンテンツ「セクハラ・インターフェース」や、家庭用ロボットに死者の痕跡を宿らせ49日間共生できる「デジタルシャーマン・プロジェクト」(文化庁メディア芸術祭優秀賞、アルスエレクトロニカ栄誉賞)など。11月には東京・中野でキャッシュレス時代をテーマにした「仮想通貨奉納祭」を催した。 https://note.com/moja_etsuko

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