築いた資産どう使う 退職後は運用より取り崩し方重要

日経マネー

言い換えると、資産形成や資産活用はお金と向き合っていく時の「目的」であって、その手段として「資産運用」があるのです。目的に合わせた手段を考えることが普通であれば、「資産形成のための運用」と「資産活用のための運用」は違っていて当然です。

では、「資産活用のための運用」とは何でしょうか。積立投資は、退職後に資産を取り崩す時代では使いにくいということは、常識的に考えれば分かると思います。資産を作り上げた後の資産活用ですから、積立投資は必要ないのです。

また、長期運用をするにしても、高齢者にとっては現役時代ほどの長期間の投資はできないかもしれません。分散の方法や、それに伴うリスク許容度もかなり異なっているはずです。

しかし重要なのは、運用そのものではありません。より大切なのは、現役世代と退職後ではお金との向き合い方に本質的な違いがある、ということです。現役時代の資産形成では積み立て投資が重要でしたが、退職後の資産活用ではそれと「対」になる「資産の取り崩し」が大事なのです。これは簡単に言えば、「買い」と「売り」の違いといってもいいでしょう。

「取り崩し」は資産形成からの「出口戦略」とも言えます。とすると、資産の取り崩しを考えなければ、現役時代の効率的な資産形成もできないはずなのです。

資産の取り崩しは、資産活用の時代において重要な機能です。しかし、日本では長い間、資産の取り崩しの方法そのものに言及することはありませんでした。

日本では、「老後生活を考える上では資産形成が必要だ」といわれてきました。しかしこれは、高齢化社会への対策の一面しか見ていません。

現役世代が自分の将来に向けて、また退職後の生活に向けて今から資産形成を進めるべきだということには一点の疑いもありません。しかし、だからといって個人金融資産の3分の2を占める高齢者の取り崩しを全く議論してこなかったのは正しくありませんでした。超高齢社会では「高齢者の資産をどう扱っていくか」も無視できない大きな課題なのです。

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