なぜ投資信託は運用成果を上回る高い分配金を出せるのか。仕組みをみていこう。まず株式の配当金の場合は、基本的に企業がその期に稼いだ当期利益と過去に稼いだ利益の蓄積である利益剰余金から支払われる。つまり株式の配当金は企業の収益とその蓄積だ。

一方、投信の分配金は組み入れ資産から得られる収益とは直接関係ない「収益調整金」という投信特有の勘定科目が重要な役割を果たす。収益調整金とは新たな投資家が投信を購入することによって既存の投資家の分配可能原資が減らないようにするためにあり、投資家が投信を購入すると金額が拡大する。

投信の分配金にかかわる勘定項目を整理すると、当期の収益である「配当等収益」と「有価証券売買等損益」に加えて、前期から繰り越された「分配準備積立金」と「収益調整金」の4つがあり、この合計から分配金が支払われている。

運用収益をまずチェック

残高の大きい毎月分配型投信は、これまでの投資家による購入で膨らんだ収益調整金が分配可能原資の中心になっており、組み入れ資産の運用収益からかけ離れた高い分配金の支払いを可能にしている。例として、ある投信の分配可能原資(直近5期を平均した理論値)を下の表に示した。

分配金25円に対し、当期の組み入れ資産の収益は配当等収益の5円と有価証券売買等損益の12円の合計で17円となり、分配金の7割弱しかまかなえていない。残りは前期から繰り越された分配可能原資を取り崩して分配していることになる。当期分配可能原資の内訳をみると、組み入れ資産の収益の蓄積といえる分配準備積立金が11円にすぎないが、収益調整金は2635円と大きい。

分配金が大きいと投信の運用もうまくいっていると考えがちだが、両者の関連性は低いケースが多い。組み入れ資産の運用収益以上の分配金を出し続けると、元本が取り崩され、基準価格は下落する。運用の複利効果も働かないため長期の資産形成では不利になる。投信を選ぶ際は基準価格の動きを確認し、投信の実力を見極めることが必要だ。

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